事業年度を決める
会社設立の手続きを始める前に用意しておくべき10の項目、7つ目は
「事業年度を決める」
です。
節税に効果的な事業年度の決め方とは
日本の多くの会社は4月を期首として新しい年度をスタートし、翌3月末を期末として事業年度を定めています。しかし、この事業年度は、必ずしも4月を期首に設定する必要はありません。
結論からお伝えすると、設立する会社の事業年度を決めるときには、節税の面から見ても「売上が一番多い月を期首にする」ことがオススメです。
理由は以下の3つです。
- 広告宣伝費などの顧客獲得に使う経費を調整しやすい:もし、「今年は儲かったから、広告宣伝費を多めに使おう」という場合、もしその判断が期末に行われたとしたら、税務署から税金逃れではないかと目をつけらやすくなります。しかし、最も売上が多い月を期首とした場合、そのような経営判断も余裕を持って行うことができます。
- 早い段階で役員報酬を変更できるため節税につながる:設立したばかりの会社や小さな会社の場合、役員報酬が経費のなかで大きな割合を占めます。そして、役員報酬は、税務上期首から3ヶ月間のみしか変更することができません。つまり、期首の売上が多い時は役員報酬を増やしたり、少ない時は減らしたりという調整が可能になります。
- 顧問税理士からゆっくりと節税のアドバイスを受けられる:日本では4月から3月末を事業年度としている会社がとても多いです。そのため、3月は個人事事業主の確定申告業務が集中したりと税理士も大忙しです。そんな中で、一社一社に丁寧なアドバイスを行うのは難しいものです。しかし、期末を3月以内に設定していれば、税理士の繁忙期をさけられるため、比較的ゆっくりと節税のアドバイスを聞くことができます。
以上の理由から、売上が一番多い月を期首に設定することで、効果的な節税対策をほどこすことができるようになります。
消費税免除期間を基準に事業年度を決める方法
もし、毎月の売上に変動がないビジネスモデルの場合は、消費税対策を基準とするのも良いでしょう。資本金が1,000万円未満の会社は、消費税の支払いが最大で2事業年の間免除されます。(但し、1期目の売上や給与等も関連しますので注意が必要です。)創業時の資金繰りが厳しい間には、この消費税の免除はかなり助かります。
そのため、「法人登記が10月だから、期首も10月に設定する」というように、消費税免除の期間を延ばすような事業年度設定も選択肢の一つです。そうすることで、最大約2年間の消費税の免税期間を得る事が可能です。
(消費税法は毎年改正されています。詳細は国税庁のPDFをご覧下さい。)