個人事業主が知っておくべき確定申告6つのステップ
個人で事業を営む方を「個人事業主」といいます。個人事業主は1月から12月までの売上と経費を確定し、翌年2月中旬~3月中旬に確定額を税務署に申請し、相応の所得税を納めなくてはなりません。これが「確定申告」です。
では、確定申告は具体的にどのような手順に沿って行えばよいのでしょうか?
以下6つのステップに添って説明します。
Step1 収入金額を計算する
その年の1月1日から12月31日までの間、事業によって得た収入をすべて合計します。売掛金や未収金など、まだ受け取っていない金額も合計しなくてはなりません。銀行振込などで入金されたものは請求書と通帳の入金記録を照合することで収入額が確定できますが、現金の手渡しや手形・小切手などによる入金があった場合はそれらを個別に管理・集計する必要があります。
Step2 必要経費を計算する
商品の仕入れ、Webサイトの開設費用など「収入を得るために要した費用」が必要経費です。実際に支払った金額ではなく「まだ支払ってはいないが、支出が確定している費用」も必要経費に含まれます。例えば運送会社へ支払う配達料など当月分を翌月に支払う場合も、12月31日までに発生した費用は必要経費として今年の申告書に計上します。領収書はすべて証拠書類として保管しておきましょう。
Step3 収支内訳書を作成する
青色申告者は「青色申告決算書」を、白色申告者は「収支内訳書」を作成します。必要な申告書類は税務署で配布しています。収支内訳書は収入と経費を記入する作業に加え、所定のルールに沿って必要経費を科目分けする必要があります。さらに所定の計算式に応じて、減価償却の計算・専従者控除・消費税課税事業者の判定、といった処理作業が必要です。計算に手間がかかる場合もあるため、初めて確定申告をする方はなるべく早めに申告書類を入手して必要記載事項を調べておいた方が良いでしょう。
Step4 事業所得から税額を求める
青色申告決算書・収支内訳書によって確定した事業所得に、もし不動産所得や配当所得がある場合は合算して税額を算出します。収入が事業所得だけの場合は、事業所得から所得控除を行い、所定の税率をかけて所得税額と住民税、事業税を計算し、そこから税額控除額を差し引いて申告納税額を求めます。
Step5 所得税の税率構造
所得税の税率は次のように7段階に区分されています。
課税される所得金額 | 税率 | 控除額 |
---|---|---|
195万円以下 | 5% | 0円 |
195万円を超え 330万円以下 | 10% | 97,500円 |
330万円を超え 695万円以下 | 20% | 427,500円 |
695万円を超え 900万円以下 | 23% | 636,000円 |
900万円を超え 1,800万円以下 | 33% | 1,536,000円 |
1,800万円を超え4.000万円以下 | 40% | 2,796,000円 |
4,000万円超 | 45% | 4,796,000円 |
(国税庁:平成27年4月1日現在法令等)
Step6 住民税・事業税を含めた税金を求める
所得税は国税ですが、それにあわせて住民税(都道府県民税と市町村民税)も納税しなくてはなりません。
住民税は所得金額にかかわらず一律で都道府県民税4%・市町村民税6%となっており、所得金額に10%をかけて求められます。
また、ほとんどの事業は事業税が5%加算されます。
まとめ
自営業者では自宅を職場としている場合、事業用部分として家賃の何割かを必要経費として計上することもできます。この割合のことを家事消費割合といいますが、「どこまでが必要経費として認められるか」といった判断は普通の人にはなかなか難しいところでしょう。
また、税額の他に国民健康保険もキャッシュアウトも生じることを頭に入れた上で資金繰り計画を立てないと、必要なときにお金がなくて困ることになりますので注意しましょう。