株式会社の資本金を決めるために考えるべき判断基準4つと基礎知識


株式会社の資本金を決めるために考えるべき判断基準4つと基礎知識

多くの方が、会社を設立する際に最も悩む点の一つが資本金の額でしょう。しかし、資本金をいくらにすればいいのか、その本質については中々誰も教えてくれません。今回は資本金をどのように捉えばいいかを2つのポイントで解説します。

そして、資本金をいくらに決めればいいのかについて4つの視点で意思決定のポイントを解説していきます。ぜひ参考にしてみてください。

資本金とは?最初に抑えておきたい資本金の2つの特徴

さて、資本金とは、株式を発行する事で集めた資金のことを言います。

資本金は会社が業務を行うための資金として使われるもので、資本金が多ければ多い程業務に使えるお金が多いので、いわゆる「体力のある会社」というように見なされます。

資本金の特徴1「資本金は原則、会社の経費としてしか使えないお金である」

例えば自分の預金が500万円ある場合で考えてみましょう。

まず、その中の300万円を資本金にするとします。すると、その300万円は原則として「会社の経費としてしか使えないお金」になります。そして、もし「残りの200万円で預金で生活がしていけるか?」ということです。もし、生活していけないことになれば、会社から個人へお金を引き出さなければなりませんが、それは会計処理上、会社から個人への貸し付けという処理になり経営上も税務上もあまり好ましくありません。さらに、金融機関にも公私混同をしている会社という見方をされてしまい、融資の審査などで不利になる場合があります。

 

それでは、少なめに貯金の500万円のうち200万円を資本金にするとします。この場合、もし運転資金が不足してきたら、個人の口座(300万円)から会社に資金を貸し付けることが可能です。貸し付けたお金は会社のキャッシュが潤沢になった時点で引き出す事も可能ですし、そのまま資本金へ振替える(DESと言います。(Debt Equity Swap)ことも可能です。

 

こうして考えると、資本金よりも個人の預金として持っておいた方が流動性が高いと言えます。

資本金の特徴2「資本金は見られ方の問題(信用)という側面がある」

資本金のもう一つの特徴としては、「資本金は会社の信用と関係性がある」ということです。

 

つまり、対外的に資本金がいくらあるかどうかで、会社の信用力が大きく左右されます。どういうことかと言うと、資本金が多い方が金銭的に体力のある会社と見なされるので、仕入れ先や営業先との取引で有利になります。具体的には、比較的大きな会社では、取引先を審査するケースがあり、謄本をチェックされて資本金があまりに少ないと取引をしないという判断をされてしまう可能性があります。

 

特に会社を設立したばかりの頃は、資本金の額が対外的な評価の最も大きな根拠となるでしょう。逆に、BtoCのビジネスを行う場合などは、一般消費者は、それほど企業の規模にまで注意を払わないので資本金を無理に積む必要性は低いと言えます。

資本金の額を決めるために考慮すべき4つのポイント

さて、資本金の重要性や特徴は理解していただけたのではないでしょうか?それでは、次に、実際に資本金の額を決める時に考慮しておきたい4つのポイントをご紹介します。

1.初期費用+最低3ヶ月分の運転資金を資本金として用意する

一つ目は、何も売上があがらなくても、会社を最低3ヶ月は持たせることができる額を用意するということです。例えば、会社設立の初期に、賃貸オフィスの保証金やパソコン購入費用など、200万円が必要だとします。そして、最初の3ヶ月で運転資金が100万円必要だとすれば、300万円を資本金にするという考え方です。その間に売上を上げることが出来れば会社が少しづつ回っていく事になります。

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 2.取引先や仕入れ先の企業規模を考慮する

繰り返しになりますが資本金は対外的な信用力もあらわします。

比較的大きな会社との取引がある場合や、仕入れ先としてある程度の資本金が必要ならば、それに応じた資本金を用意したいものです。逆にBtoCのビジネスを行うなど、資本金の額が取引や顧客獲得にあまり影響しない場合は資本金を大きく積む必要はないと言えるでしょう。しかし、資本金1円で起業してしまうなど、あまりに額が少ないと銀行口座の開設ができなかったりというデメリットが出てきますので注意しましょう。

3.免税期間の特例を考慮する

会社設立時の大きなポイントとして消費税の免税期間を活用するという節税があります。

 

消費税の免除を受ける為には、資本金を1,000万円未満に設定することが条件です。例えば、このことを知らずに資本金を1,000万円に設定してしまうと会社設立の初年度から消費税の課税事業者になってしまいます。また、資本金が1,000万円以上になると決算時に支払う法人住民税※1の均等割が高額になることもあり、負担が大きくなります。

 

創業直後は、どの経営者も資金繰りとの戦いです。少しでも、出て行くお金は少ないに越したことはありません。こうした税務上の留意点も把握して資本金の額を決めましょう。

 

※1法人住民税の均等割(※決算申告時に会社が赤字でも支払う必要あり)
  • 資本金1,000万円以下の場合・・・7万円
  • 資本金1,000万円超1億円以下の場合・・・18万円

 4.創業融資を考慮する

創業直後の会社で、効果的な資金調達方法として、新創業融資や制度融資があります。これらの融資は無担保・無保証で融資を受けられる可能性があり、積極的に活用したいものです。その場合、資本金額によって受けられる融資の額が大きく変わります。例えば、創業融資を考えている方は、「資本金の額の約2倍程度の融資が獲得できる可能性がある」ということを理解しておきましょう。

 

将来的に融資を検討する可能性のある方は、この点も考えて資本金額を決めるようにしましょう。

 

まとめ

資本金は安易に決めるものではありません。なぜなら、資本金の額は、その後の会社運営にも大きく関わってきます。当記事が、あなたがこれから設立する会社の将来にとって、少しでも足しになれば幸いです。

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