物件契約のタイミングで創業融資の通過率は変わる|飲食店オーナー必読

創業融資

物件を先に押さえるべきか、融資を先に通すべきか

これは、修業を積んできたシェフが独立する直前に、ほぼ全員がぶつかる悩みです。

そして、 多くの方がこの順序で迷っているうちに、致命的な失敗 をしてしまいます。

  • 物件を契約してから融資申請に行ったら、 「融資が通らない可能性がある」 と言われた
  • 融資を先に通そうとしたら、 「物件が決まらないと審査できない」 と止められた
  • 物件契約金で自己資金が削られて、 融資審査の自己資金欄が一気に痩せた

この記事では、 川崎・横浜・東京23区 で多くの飲食店オーナーの創業融資をサポートしてきた経験から、

  • 物件契約と融資申請の 3つのタイミングそれぞれのメリットとリスク
  • 公庫担当者が物件のどこを見ているか
  • 通過率を最大化する 推奨タイムライン

を、ぼかさずにお伝えします。

物件探しを始めた方、これから不動産屋と話す方は、 動き出す前にこの記事を読んでください


「物件 → 融資」 or 「融資 → 物件」?答えは “並行”

ネットで「飲食店 開業 物件 融資 順序」と検索すると、いろんな意見が出てきて混乱します。 結論から言うと、 どちらか一方を完全に終わらせてからもう一方 という順序は、 どちらもオススメしません

正解は、 「物件と融資を並行して進める」 です。 ただし、それぞれのフェーズで 公庫と物件オーナーの両方に納得してもらえる動き方 が必要で、 ここに慣れていないと、ほぼ必ずどこかで詰まります。


物件契約の3つのタイミングとその違い

タイミングA:物件契約 “前” に融資申請する

メリット

  • 自己資金が削られない ため、審査時の資金状況が良く見える
  • 複数の物件候補を 比較できる
  • 不承認だった場合に 物件契約のキャンセル料が発生しない

デメリット

  • 公庫担当者から 「物件が決まらないと具体的な審査ができない」 と言われる場合がある
  • 申請から審査完了まで 時間がかかる傾向
  • 物件オーナー側に 「融資が通るまで物件を押さえてください」 と頼みにくい

基本的には推奨できません。物件の解像度が低い計画書は、評価が伸びません。


タイミングB:物件契約 “後” に融資申請する

メリット

  • 計画書の 具体性が一気に増す(立地・席数・業態がリアル)
  • 公庫の審査が スムーズに進みやすい

デメリット

  • 契約金で自己資金が削られる(手付金・敷金・礼金など、数百万円が動く)
  • もし 融資不承認 なら、契約金の戻りが少なく 大きな損失
  • 工事や開業準備の タイムリミット が始まり、計画書を詰める時間が減る

資金に余裕がある方ならアリ。ただし「融資が通らない可能性」を無視できないなら危険。


タイミングC:物件 “仮押さえ” + 公庫 “事前協議” の並行(推奨)

メリット

  • AとBの 両方の良いところ取り
  • 自己資金を温存しつつ、 物件の具体性も計画書に盛り込める
  • 公庫担当者から 早めにフィードバック を得られる
  • 不承認リスクを 最小化

デメリット

  • 不動産屋との コミュニケーション能力 が必要
  • スピード感 が問われる(仮押さえの期限は通常1〜2週間)

当事務所が一貫して推奨しているタイミング です。

「仮押さえ」とは

不動産屋に「この物件で本契約に進む意思があります」と伝え、本契約までの 数日〜2週間程度、他の人に契約させない ようにしてもらうこと。

通常、仮押さえは 無料 or 少額の手付金で可能 です。 この期間を使って、 計画書を完成させて公庫に事前協議 に行きます。


公庫担当者が “物件” をどう見ているか

公庫の担当者は、物件情報を 3つの視点 で確認しています。

① 立地と業態の整合性

  • 客単価 7,000円のコース料理店を、 オフィス街の昼ピーク向け立地 で出そうとしていないか
  • 学生街で 高単価業態 を狙っていないか
  • 周辺の 競合の客層・客単価 と合っているか

立地と業態がずれていると、「この計画は売上が立たない」と判断されます。

② 物件取得費の妥当性

  • 家賃が 月商目標の10%以内 に収まっているか(飲食店の業界標準)
  • 保証金(敷金)が家賃の何ヶ月分か
  • 居抜き or スケルトン、それぞれの 改装コスト見積もり

家賃が月商比率で高すぎると、 継続経営の懸念 から融資額が圧縮されることも。

③ 物件規模と売上計画の整合性

  • 席数 × 客単価 × 回転率 × 営業日数 が 物件規模に対して現実的か
  • 厨房スペースは メニュー構成に対して十分か
  • バックヤード(仕込み場、倉庫、トイレ動線)は 業態の運営に支障ないか

12席のカウンターで月商500万円」のような、 物件規模を超えた数字 が書かれていると、即減点です。


よくある失敗パターン3例

失敗①:物件契約後に融資不承認

物件契約金として 300万円を支払った後、融資が通らず 、契約金の大半が返ってこなかったケース。

  • 物件契約金は、原則 返金されません
  • このリスクを避けるためには、 契約前に公庫の事前協議 を済ませておくこと

失敗②:物件未定のまま申請して、審査が長期化

物件は決まっていないが、計画書はあります」で申請して、 3ヶ月以上審査が動かない ケース。

  • 担当者は「具体的な物件が決まってから審査します」と判断
  • その間に 資金繰りや開業時期がズレ込む

失敗③:物件契約金で自己資金が枯渇

物件契約金として手元の 400万円のうち300万円を支払い、 融資申請時の自己資金欄が 100万円に減った ケース。

  • 公庫の審査は、 申請時点での自己資金額 を重視
  • 「物件契約金として既に支払い済み」を みなし自己資金として認められるか はケースバイケース

通過率を最大化する “推奨タイムライン”

修業を積んだ本格派シェフが、確実に融資を通すためのタイムラインです。

フェーズ期間やること
1. 物件候補の絞り込み1〜2ヶ月不動産屋複数社と関係を作り、候補3〜5物件にしぼる
2. 計画書ドラフト作成2週間物件候補のうち本命1〜2件をベースに、計画書のたたき台を作る
3. 仮押さえ + 公庫事前協議2週間本命物件を仮押さえ → 公庫担当者と事前協議 → 計画書のフィードバック取得
4. 計画書のブラッシュアップ2〜3週間フィードバックを反映し、面談で答える想定問答を整える
5. 公庫面談1日税理士同席で面談に臨む
6. 融資内諾通知2〜3週間融資の 内諾 が出たら、物件本契約に進む
7. 物件本契約数日内諾を不動産屋に提示して契約
8. 工事・開業準備1〜2ヶ月内装工事、什器搬入、スタッフ採用、メニュー試作など

→ 全体で 5〜6ヶ月 が目安。 ③〜⑥のフェーズで税理士のサポートが入る と、通過率が大きく変わります。


1,000万円超の融資を狙う場合の追加注意

希望融資額が1,000万円を超える場合、物件のチェックは さらに厳しく なります。

  • 設備・物件への投資配分 の妥当性が深く問われる
  • 物件取得費が大きい場合、 「家賃 vs 売上」のシミュレーション を緻密に求められる
  • 2号店構想 を聞かれることもあり、その場合は1号店物件の 拡張性 も考慮される

川崎・横浜・東京23区で物件探し中の方へ

物件探しと融資申請を 同時並行で進めるのは想像以上に大変 です。 不動産屋とのやり取り、計画書のブラッシュアップ、公庫との事前協議 ── これらを 一人でこなすのは現実的ではありません

当事務所は、 川崎・横浜・東京23区 を中心とした飲食店オーナー様の 物件選定段階からの伴走 を多数経験しています。 物件のメリット・デメリットをファイナンス視点で評価し、 仮押さえのタイミング、公庫との事前協議、面談同席まで一気通貫でサポートします。

以下に当てはまる方は、 無料相談(60分) でご状況をお聞かせください。

  • 物件候補が 2〜3件まで絞れた が、どれを本命にするか迷っている
  • 物件契約金で自己資金が削られる のが心配
  • 公庫の事前協議 に行きたいが、何を持っていけばいいか分からない
  • 1,000万円超の融資 を狙うので、物件評価も含めて相談したい

👉 無料相談のお申し込みはこちら


まとめ:物件と融資は “並行で動かす” のが正解

物件契約と創業融資申請は、 どちらか一方を完全に終わらせてから ではなく、 並行で動かす のが最適解です。

  • タイミングA(物件前 → 融資後):基本的に推奨されない
  • タイミングB(物件後 → 融資後):契約金で資金が削れるリスクあり
  • タイミングC(仮押さえ + 事前協議の並行):推奨

修業で培った技術と感覚を、 物件選定 → 計画書 → 事前協議 → 面談 のフローに正しく乗せれば、 理想の店を、理想のタイミングで実現できます

物件探しは「不動産屋 vs 自分」の構図ではなく、 「不動産屋 + 公庫 + 税理士」をチームとして動かす イメージです。 一人で抱え込まず、 早めに第三者に相談する ことで、無駄な失敗を避けてください。