この記事の結論
・公庫担当者は文章の熱意より「数字の根拠と整合性」を見ている
・根拠のない断言はマイナス。避けるべきNGワードは5つ
・書き終えたら提出前チェックが必須。第三者の審査目線で精度が上がる
「事業計画書は書いたけど、これで本当に通るのか自信がない」
創業融資の面談直前に、いちばん多くいただく相談がこれです。
はっきり言います。事業計画書は、オーナーの想いを伝える書類ではありません。公庫の担当者が「貸せる根拠」を見つけるための書類です。この目的を取り違えると、どれだけ熱意を込めても、逆に評価を下げる文章になってしまいます。
この記事では、川崎・横浜・東京23区で多くの飲食店の創業計画書をブラッシュアップしてきた経験から、
- 公庫担当者が 本当に見ている5つのポイント
- 飲食店オーナーが 無意識に書いてしまう5つのNGワード
- それを 修業経験者ならではの書き方に変えるテンプレ
を、ぼかさずにお伝えします。
これから計画書を書く方、書き終えたけど不安な方へ。送る前に、必ずこの記事を読み返してください。
公庫担当者が “本当に” 見ている5つのポイント
公庫の創業計画書フォーマットには、たくさんの項目があります。でも、担当者が特に重視しているのは、次の5つです。
① 動機(なぜこの仕事で独立するのか)
担当者は、ここで本気度と覚悟を測ります。「思いつき」と「数年かけて準備してきた」の差は、時系列の具体性で見抜かれます。
② 経営者の経歴
特に飲食業の場合、修業期間・修業先・担当ポジションが重要視されます。経歴が浅いと判断されると、ここで一気に評価が下がります。
③ 取扱商品・サービスの具体性
メニュー構成、客単価、提供スタイル。これらが数字と結びついて説明できているか。「美味しい料理」だけでは、何も伝わりません。
④ 売上の根拠
ここが計画書の天王山です。客単価×席数×回転率×営業日数の算式が成り立っているか。その数字が、修業先や周辺競合の実数値ベースか。
⑤ うまくいかなかった時の対応
ほぼ全員が見落とすポイントです。「絶対成功します」では、担当者は「リスクが見えていない人だ」と判断します。想定外を想定内に変えるプランBが書かれているか。
飲食店オーナーが書いてしまう “5つのNGワード”
ここからが本題です。計画書を読んでいて、担当者が瞬時に評価を下げるフレーズを5つ紹介します。
NGワード①:「夢を叶えたい」
NG例:「学生時代から、いつか自分の店を持つのが夢でした。その夢を叶えたいので、独立を決意しました」
なぜダメか
「夢」「思い」「情熱」。これらは誰でも書けるフレーズです。担当者は1日に何件もの計画書を読んでいます。このフレーズで埋まった計画書は、見飽きているんです。さらに、夢ベースの動機は「お金を貸す根拠」にならないため、評価のしようがありません。
OK例(修業経験者ならではの書き方)
「○○店で○年間、和食の調理場で修業をしてきました。修業期間中、 客単価7,000円帯のお客様の体験を、もっと自分なりの形で提供できないか とずっと考えてきました。具体的には、 季節食材のコース構成と日本酒のペアリング を、 修業先より一回り小さい12席規模 で実現したく、3年前から物件と資金計画の準備を進めてきました」
ポイント:
- 修業先・期間 で経歴の信頼性を裏付ける
- 修業中に気づいた “顧客への提供価値” を具体的に書く
- 「3年前から準備していた」 で計画性を示す
NGワード②:「頑張ります」「全力で取り組みます」
NG例:「料理の質と接客で、お客様に満足いただけるよう全力で取り組みます」
なぜダメか
「頑張る」は行動の主語であって、数字や成果の主語ではありません。担当者が見ているのは「どう頑張るのか」と「結果として何が起きるのか」です。
OK例
「開業後3ヶ月は、 客単価7,000円・回転率1.4回転・月25日営業で月商294万円 を目標とします。 4ヶ月目以降は、リピーター率を 30%まで引き上げる ため、 食後のあいさつ回りと、季節限定コースのDM配布 を月に1回実施します」
ポイント:
- 行動 → 数字 → 期間 の3点セットで書く
- 「頑張る」は具体的な行動に翻訳する
NGワード③:「ニーズはあると思います」
NG例:「このエリアは飲食店激戦区ですが、本格イタリアンの店は少なく、ニーズはあると思います」
なぜダメか
「思います」は個人の感想です。根拠がないことを、自分から告白しているようなもの。担当者が求めているのは「思う」ではなく「事実」です。
OK例
「川崎駅西口エリアの徒歩5分圏内には、客単価6,000円以上の本格イタリアンは 2店舗のみ(食べログ調査・直近6ヶ月)。両店とも 金土の予約は3週間先まで埋まっており、需要が供給を上回っている状況です。 当店は、 平日ディナー・週末ランチの空白時間帯 を狙うことで、 既存2店との競合を避けつつ需要を取り込めます」
ポイント:
- 数字で言える調査結果 を入れる(店舗数、予約状況、徒歩○分圏内など)
- 競合との差別化ロジック を示す
- 「思います」は使わない。 「○○の調査では」 に置き換える
NGワード④:「絶対成功します」「失敗するとは思っていません」
NG例:「これだけ準備してきたので、絶対に成功させる自信があります」
なぜダメか
担当者が見ているのは、「成功する根拠」よりも「失敗したときに返済できるか」。「絶対成功」と書く人は、リスクが見えていない=計画が甘いと判断されます。
OK例(3段階で書く)
早期発見:「2ヶ月単位で売上と来店数をモニターし、 想定の70%を切ったらアラート とします」
打ち手:「アラート時の対応は3つ用意しています。① メニュー構成の見直し(ランチタイムに低単価コースを追加)、② SNS・口コミ施策の強化(食べログ・Instagram運用予算を月2万→4万に)、③ 営業時間の拡大(月25日 → 28日へ)」
最悪時の備え:「売上が 想定の50%まで落ち込んだ場合 でも、 6ヶ月間は返済が継続できる現金バッファ を運転資金に組み込んでいます」
ポイント:
- 数字の閾値(70%、50%) を明示する
- 打ち手が複数あり、コスト感も書ける
- 最悪時でも返済可能 な備えを示す
NGワード⑤:「他にはない店を作ります」「自分らしい店」
NG例:「他にはない、自分らしい唯一無二のお店を作りたいです」
なぜダメか
「他にはない」も「自分らしい」も、読み手にとっては具体性ゼロのフレーズです。「何が他と違うのか」を3つ、具体的に書く必要があります。
OK例
「当店の他店との違いは、次の3点です。
① 食材:契約農家から週2回直送の旬野菜を使用(一般的な飲食店は卸経由のため鮮度が劣る)
② 価格帯:客単価7,000円帯に対して コース内容は周辺の客単価10,000円帯と同等
③ 席数:12席のカウンター中心で、 シェフと客の対話 が前提の業態この3点で、 食通層 + 記念日利用 の固定客化を狙います」
ポイント:
- 違いを 3つに絞る
- それぞれを 数字や事実で裏付ける
- 「だから〇〇な客層を取れる」と顧客像とつなげる
さらに評価を上げる “ひと工夫”
NGワードを避けるだけでは、まだ半分です。計画書全体の質を一段引き上げるコツを3つ紹介します。
① 数字は “暗唱できるレベル” まで頭に入れる
計画書に書いた数字を、面談で担当者から不意に聞かれても、ノートを見ずに即答できるか。この差は、面談の評価に直接効きます。
② 修業先の “実数値” を計画に組み込む
「修業先の客単価は○○円、月商は○○万円でした」。こういう実数値ベースの計画は、担当者にとって最も信頼できる根拠の一つです。
③ 写真・図・資料を1〜2点添付する
物件の写真、商圏マップ、競合店の場所を示した地図。視覚的な裏付け資料が1〜2点あるだけで、計画書の説得力が大きく変わります。
計画書を書き終えたら、必ずやるべきチェック
書き上がった計画書を、提出前に以下の5点で自己チェックしてください。
| チェック項目 | OK判定基準 |
|---|---|
| 「夢」「思い」「情熱」を使っていないか | 0回 |
| 「頑張る」「全力」「精一杯」を使っていないか | 0回 |
| 「思います」「だと思う」を使っていないか | 0回(事実か推測か明示) |
| すべての売上数字に 算式 がついているか | 全項目で算式あり |
| 失敗時の 3段階の対応 が書かれているか | 早期発見・打ち手・最悪時のいずれも明記 |
5項目すべてOKなら、計画書としては最低ラインを超えたと言えます。
自分だけで判断するのが難しい時は
計画書には、「書いた本人にはどこが弱いか分からない」という性質があります。何度も読み返した文章ほど、書き手は内容に慣れて、違和感に気づけなくなるものなんです。
「これで本当に通るのか自信がない」。そんなときは、第三者の専門家に一度見てもらうのが最短ルートです。
当事務所では、 川崎・横浜・東京23区 を中心に、飲食店オーナー様の創業計画書のレビューと書き直しを多数サポートしてきました。 公庫担当者の視点を熟知しているからこそ、 「ここを変えれば一段強くなる」というポイントが見えます。
以下に当てはまる方は、 無料相談(60分) でご状況をお聞かせください。
- 計画書を書き終えたが、 第三者の目で見てほしい
- 提出前に NGワードがないかチェック したい
- 数字の根拠 が弱い気がする
- 1,000万円超の融資 を狙うので、計画書を強化したい
まとめ:計画書は “翻訳の場”
創業計画書とは何か。修業で蓄えてきたあなたの実力を、「公庫担当者の言語」に翻訳する作業です。
「夢」「頑張る」「ニーズがある」「絶対成功」「他にはない」。これらのNGワードは、翻訳をサボった証拠として読まれます。
逆に、修業経験 → 数字 → 算式 → 想定外への備えの流れで翻訳できれば、計画書は最強の武器になります。
書き上げた計画書を、NGワードチェックリストにかけてみてください。「あ、自分も使ってた」というフレーズが3つ以上見つかったら、書き直しのタイミングです。
なお、創業融資は「一人で公庫に行って交渉するもの」とは限りません。公庫と日常的に連携している税理士が計画段階から関与すると、数字の整合性と書類の質が上がり、審査は格段にスムーズに進みます。当事務所の審査通過率が100%(事前協議で見極めた案件)なのは、提出前に審査目線で整えるこの工程があるからです。
川崎・横浜・東京23区で開業予定の方へ
当事務所は川崎駅徒歩8分、飲食店専門の会計士税理士事務所です。日本政策金融公庫の担当者と日常的に連携しており、事業計画書の作り込みから面談の同席まで対応しています(完全成功報酬制・融資が実行されなければ0円)。オンラインでのご相談は全国から可能です。
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