この記事の結論
・公庫融資の実際の通過率は60〜70%。「100%」は事前協議での見極めがあってこその数字
・事務所選びで結果は変わる。見分ける基準は5つ
・一度落ちると2回目は不利。最初の1回に全力を注ぐのが正解
「公庫の創業融資って、結局のところどれくらい通るんですか?」
無料相談の場で、ほぼ毎回いただく質問です。
ネットで検索すると、どうなるか。「通過率は50%」「いや70%」「うちは100%」。数字がバラバラで、どれを信じればいいか分からなくなりますよね。
結論から言います。この数字のばらつきには、明確な理由があります。そして、その理由を知らないと、事務所選びで取り返しのつかないミスをします。
この記事では、川崎・横浜・東京23区で多くの飲食店オーナーの創業融資をサポートしてきた経験から、
- 公庫融資の 本当の全国平均通過率
- なぜ事務所によって数字が違うのか
- 「通過率100%」を謳う事務所のカラクリ
- 通過率を最大化するための 事務所選びの基準
を、ぼかさずにお伝えします。
これから創業融資を考えている方、税理士事務所を選ぼうとしている方へ。動き出す前に、必ずこの記事を読んでください。
公庫融資の本当の通過率は「60〜70%」
まず前提から。日本政策金融公庫の創業融資の全国平均通過率は、約60〜70%と言われています。
つまり、10件の申請のうち3〜4件は落ちている。これが実態です。
「思ったより通らないな」と感じましたか? そうなんです。公庫融資は、決して「簡単に通る融資」ではないんです。
ところが、税理士事務所のホームページを見ると、「通過率100%」「通過率95%」という数字が並んでいる。これはどういうことか。
実は、その差は事務所の「受け方」にあります。
💡 重要な視点:通過率の数字は「事務所の力量」だけでは決まりません。「事務所がどんな案件を受けるか」という入口の設計で大きく変わります。
「通過率100%」のカラクリ
正直に申し上げます。当事務所の通過率も100%です。ただし、これには大きなカラクリがあります。
当事務所のフローは、こうなっています。
① 無料相談(事前協議)で徹底的に見極める
申請を受ける前に、次の項目を細かく確認します。
- 修業期間と修業先(経歴の信頼性)
- 自己資金の金額と、その出所・貯め方
- 物件の有無と、物件と業態の整合性
- 計画書のドラフトの質
- 過去の信用情報
② 通る見込みのある案件だけを審査に進める
事前協議の段階で「現状のままだと通らない可能性が高い」と判断した場合、率直にお伝えします。
そのうえで、改善できる項目についてお話しします。計画書の精度、修業経験の言語化、自己資金の説明。「ここを直せば通る可能性が出る」というアドバイスを差し上げます。
改善を経て、「通る見込みが立った」と判断できた段階で、初めて公庫面談に進みます。
③ 難しい案件は、率直にお断りする
中には、どれだけ計画書を磨いても通る見込みが立たない案件もあります。
- 飲食業の経験が極端に短い(半年未満など)
- 自己資金の出所に大きな問題がある
- 過去の信用事故が直近にある
- 物件と業態が完全にミスマッチ
こうしたケースでは、正直に「今回は難しい」とお伝えします。場合によっては、「○年後にもう一度挑戦されたほうがいい」という長期的なご提案をすることもあります。
→ 結果として、審査に進んだ案件は全件満額実行
このフローを徹底しているからこそ、当事務所の通過率は100%になります。
誤解しないでください。「魔法のように落ちる案件を通せる」ということではありません。「通る案件と、通らない案件を見極める力」が、結果的に通過率の数字に表れているだけです。
💡 本質:通過率100%は、「審査に通す力」ではなく「審査に進める案件を見極める力」の指標です。
通過率が低くなる事務所の特徴
逆に、通過率が60%前後の事務所には、共通する特徴があります。「事務所が悪い」という意味ではありません。依頼する側にとってのリスクという観点で見てください。
特徴①:「とにかく申請してみましょう」と急かす
事前協議をほぼせず、早く申請に進めようとする事務所です。申請件数が多い=報酬も多い。こういうビジネスモデルだと、こうなりがちです。
特徴②:自己資金や経歴の確認が浅い
「自己資金はいくらありますか?」だけ聞いて、その内訳や貯め方を深掘りしない。通帳の見え方や生活費とのバランスは、公庫担当者が必ず見るポイントなのに、です。
特徴③:面談に立ち会わない
「事業計画書はチェックしましたが、面談はご自身でどうぞ」という事務所。公庫面談は、計画書の数字を口頭で再現できるかが問われる場です。ここで落ちる人が、一定数います。
特徴④:飲食業の実績が少ない
業種ごとに、見られるポイントは違います。飲食業の経験が浅い事務所だと、修業経験の語り方や売上計画の積み上げ方へのアドバイスが薄くなりがちです。
通過率の低い事務所に依頼するリスク
通過率60%の事務所に依頼するとは、どういうことか。10件のうち3〜4件は落ちているということです。
公庫の創業融資は、一度落ちると原則6ヶ月は再申請できません。つまり、
- 開業時期が 半年遅れる
- 物件を契約済みなら、 その間の家賃が空払い
- 一度落ちた事実が 次回審査の心象に残る こともある
この機会損失は、報酬の差額をはるかに超える金額になります。
💡 逆説的ですが、目の前の報酬の安さで事務所を選ぶことが、トータルで一番高くつく。そういうことは、少なくありません。
良い事務所の見分け方(5つの基準)
では、通過率を最大化してくれる良い事務所は、どう見分ければいいか。
基準①:事前協議で「見立て」を率直に伝えてくれる
「通る可能性は今の状態だと○%くらいです」。こう数字と理由付きで見立てを伝えてくれる事務所は、信頼できます。「とにかく頑張ります」しか言わない事務所は、注意です。
基準②:計画書のレビューを文字レベルで丁寧にしてくれる
「ここはNGワードです」「この数字の根拠は?」。計画書の中身に踏み込んだフィードバックをくれるかどうか。
基準③:公庫面談に同席してくれる
面談で、担当者から想定外の質問が来たとき。その場で補足できる専門家が横にいるかどうかは、通過率に直接影響します。
基準④:飲食業の融資実績が豊富
ホームページや無料相談で、「飲食業で○件の実績」「累計融資実行額○億円」といった具体的な数字が出てくる事務所を選んでください。
基準⑤:難しい案件は「難しい」と言える
「今のままだと通らないので、ここを変えましょう」と言ってくれる事務所のほうが、結果的に通る確率が上がります。「全部受けます」は、警戒シグナルです。
通過率を上げるために、申請者側ができる3つのこと
事務所選びと並行して、申請者側が通過率を上げるためにできることも整理しておきます。
① 計画書の数字を「暗唱できる」レベルにする
| 項目 | 暗唱したい数字 |
|---|---|
| 客単価 | ○○円 |
| 席数 | ○席 |
| 回転率 | ○回転 |
| 営業日数 | 月○日 |
| 月商目標(3段階) | 立ち上がり○○万円 / 安定期○○万円 / 成長期○○万円 |
| 固定費(家賃・人件費・光熱費) | 月○○万円 |
| 損益分岐点売上 | 月○○万円 |
これをメモなしで答えられるレベルまで、頭に入れてください。担当者は「この人は本当にこの数字で経営する気があるのか」を見ています。
② 修業先の「実数値」を計画書に組み込む
「修業先の客単価は○○円、月商は○○万円でした」。こういう実数値ベースの計画書は、担当者にとって最も信頼できる根拠の一つです。
修業期間が長ければ長いほど、この武器は強くなります。
③ 失敗時の「3段階の備え」を書く
「絶対成功します」ではなく、数字の閾値 + 打ち手 + 最悪時の備えをセットで書く。
| 段階 | 内容 |
|---|---|
| 早期発見 | 売上が想定の70%を切ったらアラート |
| 打ち手 | 対応策3つ(メニュー / SNS / 営業日) |
| 最悪時 | 売上50%でも6ヶ月返済継続できるバッファ |
この3段階が書けている計画書は、「リスクが見えている人」の証として高評価されます。
落ちたあとの「2回目の罠」
ここまで読んでいただいた方の中には、すでに一度公庫で落ちた経験がある方もいるかもしれません。
その方に、いちばん伝えたいことがあります。「同じ計画書で再申請しないでください」。
公庫の審査では、再申請時に「前回の記録」が確認されます。同じ計画書、同じ事務所、同じ自己資金で再申請したら? 落ちる確率は、むしろ上がります。
再挑戦するなら、何が問題だったかを冷静に分析し、
- 計画書の数字の見直し
- 修業経験の言語化のやり直し
- 物件・自己資金の補強
- 必要に応じて事務所の変更
を経てから、少なくとも3〜6ヶ月空けて申請するのが原則です。
💡 過去に他事務所で断られた経験がある方へ。当事務所では「なぜ落ちたか」を分析した上で、再申請までのロードマップを一緒に作っています。
よくある質問
- Q. 創業融資の審査に通る確率はどれくらいですか?
- A. 日本政策金融公庫の創業融資は、一般に60〜70%程度とされます。事務所が掲げる「100%」は、事前の見極めを経た案件だけを申請した結果の数字です。母数が違うので単純に比較はできません。
- Q. 創業融資に一度落ちたら、二度と借りられませんか?
- A. 再申請は可能です。ただし落ちた理由を放置したまま出し直しても結果は変わりません。何が足りなかったかを整理してから、期間を置いて臨むのが現実的です。
- Q. 税理士に頼むと審査に通りやすくなりますか?
- A. 通す力があるわけではありません。数字の整合性を取り、面談で聞かれる点を先に潰すことで、落ちる理由を減らすのが役割です。
川崎・横浜・東京23区で創業融資を考えている方へ
当事務所は 川崎駅から徒歩8分。日本政策金融公庫の担当者と日常的に連携しており、 面談の同席 まで対応しています。オンラインで全国からのご相談も承っています。
料金は 完全成功報酬 です。融資実行額の4パーセント(最低20万円・税別)で、通らなければ0円。着手金はいただきません。
以下に当てはまる方は、 無料相談(60分) でご状況をお聞かせください。
- これから創業融資の申請を考えている
- 過去に他事務所で断られた、または通過率の低い事務所に依頼した経験がある
- 現状で通る見込みがどれくらいあるか、 客観的な見立てを聞きたい
- 1,000万円超の融資を狙うので、 申込先の選び方から相談したい
まとめ:通過率の数字には、必ず理由がある
公庫融資の通過率は、全国平均で60〜70%。これが現実です。
「通過率100%」を謳う事務所には、必ずカラクリがあります。その多くは、
- 事前協議で「通る案件かどうか」を見極めている
- 通らない案件は率直にお断りする、または改善を経てから申請する
という入口の設計によるものです。これは決して悪いことではありません。むしろ、依頼者にとって最も合理的な仕組みです。
事務所選びで一番危険なのは何か。「全部受けます」と言って、通過率の数字を伏せている事務所です。ここに依頼すると、6ヶ月の機会損失と、再申請時の不利な扱いという二重のダメージを受けかねません。
通過率の高い事務所は、「通る案件を見抜く力」と「修業経験を計画書に翻訳する力」の両方を持っています。そして、依頼者と一緒に通る計画書を作っていく姿勢があります。
事務所選びは、創業融資の通過率を決める最初のステップです。不安があれば、まず無料相談でご状況をお聞かせください。
なお、創業融資は「一人で公庫に行って交渉するもの」とは限りません。公庫と日常的に連携している税理士が計画段階から関与すると、数字の整合性と書類の質が上がり、審査は格段にスムーズに進みます。当事務所の審査通過率が100%(事前協議で見極めた案件)なのは、提出前に審査目線で整えるこの工程があるからです。
この記事は飲食店の開業・創業融資ガイドの一部です。資金の全体像、物件と設備、創業計画書、融資の申込までを準備の段階順にまとめています。