飲食店の創業融資|「自己資金の出どころ」で落ちる人、通る人——通帳で何を見られているのか

創業融資

創業融資の相談で、いちばん多くつまずくのが自己資金です。

いきなりですが、質問です。
あなたの自己資金、通帳のどこを見られても大丈夫ですか?

金額の大小より先に、審査で必ず見られることがあります。そのお金は、どこから来たのか。金額は十分なのに、出どころで評価を落とす人が本当に多い。この記事では、その落とし穴を先に全部お見せします。

審査担当者は通帳の「残高」ではなく「履歴」を見ている

公庫の面談では、通帳(またはネットバンキングの履歴)の提示を求められます。

担当者が見ているのは、いまの残高ではありません。そのお金が、どうやって貯まったかです。

毎月の給料日のあとに3万円、5万円。淡々と積み上がった履歴が通帳に残っている。これが最強の自己資金です。「開業に向けて計画的に準備してきた人」「毎月の収支をコントロールできる人」。通帳が、あなたの代わりにそう証言してくれます。

通帳は、あなたの本気度の記録です。

「見せ金」は自己資金として認められない

逆に、評価されないどころかマイナスになるお金があります。出どころを説明できないお金です。

典型例。申込みの直前に、ポンと入金された100万円。

いわゆる「見せ金」です。知人から一時的に借りて口座に入れ、審査が終わったら返す。これ、確実に見抜かれます。入金の日付と金額は必ず確認されますし、説明できない大きな入金について質問されて答えに詰まったら、その時点で金額の問題ではなく信頼の問題になります。

タンス預金も同じです。実際にコツコツ貯めたお金でも、履歴で確認できなければ評価は難しい。現金で貯めている方は、開業を考え始めた段階で口座に移して、履歴を作っておいてください。

預金以外でも自己資金として認められるもの

「自己資金=銀行預金」と思っていませんか。実務では、もう少し幅があります。

保険の積立(解約返戻金)。長年かけてきた生命保険や養老保険は、計画的に積み立ててきた資産として認められます。

株式・投資信託。証券口座の評価額も資産です。いつから保有しているかが分かると、なお有利。

親族からの贈与。親からの援助も自己資金に入れられます。ただし「借りたお金」との区別が問われるので、贈与契約書を交わす、振込で記録を残す。返済不要のお金だと説明できる形にしておくのが安全です(借りたお金なら、隠さず「親族からの借入」として計画に載せる。隠す方がリスクです)。

「貯金が足りないから無理だ」と諦める前に、資産の棚卸しを。景色が変わる人、結構います。

実務でよくある3つの質問

Q. 配偶者の預金は自己資金になりますか?
なるケースはありますが、本人名義より説明が必要です。配偶者の同意と、生活費とは別に開業に充てられることを示せるようにしておきましょう。

Q. 退職金は?
出どころが明確なので、問題なく評価されます。振込記録が残る分、むしろ説明しやすいお金です。

Q. 直前の入金でも、説明できれば大丈夫?
退職金、保険の解約、資産の売却など、正当に説明できるものなら直前でも問題ありません。NGなのは「説明できない」入金です。聞かれる前提で、根拠資料を揃えておいてください。

まとめ|自己資金は「金額」と「物語」のセット

自己資金の審査は、金額の審査であると同時に、あなたがお金とどう付き合ってきたかの審査です。

いくら貯めたかだけでなく、どう貯めたか。説明できる形になっているか。預金以外の資産も棚卸ししたか。ここまで整えてから申し込むかどうかで、同じ金額でも評価は変わります。

迷ったら、申し込む前に聞いてください。出してからでは、直せません。当事務所の無料相談では、通帳履歴の見え方まで含めて事前にチェックしています。

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よくある質問

Q. 自己資金の出どころは、どこまで調べられますか?
A. 通帳の入出金履歴で確認されます。申込の直前にまとまった額が入金されていると、その原資を必ず聞かれます。
Q. 見せ金はなぜ分かってしまうのですか?
A. 通帳の流れが不自然だからです。積み立ての形跡がなく、申込直前に入金され、その後動いていない資金は説明を求められます。
Q. タンス預金は自己資金として認められますか?
A. 手元現金のままでは準備の経過が確認できません。早めに口座へ入れて、履歴として残る状態にしておいてください。

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この記事は飲食店の開業・創業融資ガイドの一部です。資金の全体像、物件と設備、創業計画書、融資の申込までを準備の段階順にまとめています。