飲食店の開業資金は、何にいくらかかるのか。
総額の目安だけ聞いても計画は立ちません。この記事は内訳の話をします。どの費目があり、何で金額が動き、どこが削れてどこが削れないのか。見積もりを取る前に、全体の地図を持ってください。
開業資金の内訳は6つ
飲食店の開業資金は、大きく分けると次の6つです。
| 費目 | 中身 | 金額を動かす要因 |
|---|---|---|
| 物件取得費 | 保証金・礼金・仲介手数料・前家賃 | 家賃の6〜12ヶ月分が目安。都心ほど保証金の月数が増える |
| 内装工事費 | 床・壁・天井・電気・給排水・ガス | スケルトンか居抜きかで大きく変わる。坪数×仕様で積算 |
| 厨房設備費 | コンロ・冷蔵庫・シンク・製氷機など | 新品か中古か、リースか購入か |
| 什器・備品費 | テーブル・椅子・食器・レジ | 席数に比例。中古とネット調達でかなり圧縮できる |
| 開業諸費用 | 許可申請・求人・メニュー制作・販促 | 見落とされがち。ここを忘れると開業直前に資金が尽きる |
| 運転資金 | 開業後の家賃・人件費・仕入れの立て替え | 軌道に乗るまでの月数をどう見るか |
よくある失敗は、上の4つ(物件・内装・厨房・什器)だけで資金を使い切ることです。開業した瞬間がいちばんお金がない、という状態になります。初月から満席になる店はまれです。売上が立ち上がるまでの数ヶ月分の固定費を、最初から資金計画に入れてください。
費目ごとの見方
物件取得費は「家賃の何ヶ月分か」で見る
保証金は家賃の6〜12ヶ月分が相場圏です。つまり家賃を1万円下げると、初期費用は10万円前後下がる計算になります。物件選びの段階で、開業資金の3〜4割が決まってしまうということです。
内装工事費は「どこまで自分で決められるか」で変わる
同じ坪数でも、デザイン会社に丸ごと任せるのと、施工会社に直接発注して仕様を自分で決めるのでは、金額がまったく違います。相見積もりは最低2社。見積書は「一式」の行を分解してもらってください。一式表記が多い見積書ほど、あとで追加費用が出ます。
厨房設備は中古とリースを組み合わせる
冷蔵庫やコンロは中古市場が成熟しています。一方、製氷機のように故障が営業に直結するものは新品かリースが安全です。全部新品で揄える必要はありませんが、全部中古も危険です。壊れたら営業が止まる機器はどれか、で分けてください。
運転資金は「売上ゼロで何ヶ月耐えられるか」
家賃・人件費・水道光熱費・借入返済。売上がなくても出ていくお金の合計を月額で出し、最低3ヶ月分。これが運転資金の下限です。日本政策金融公庫の融資では、設備資金と運転資金を分けて申請します。運転資金を軽く見た計画は、審査でも突っ込まれます。
自己資金と借入のバランス
内訳の合計が出たら、次は調達です。自己資金でいくら出し、いくら借りるか。
借入の現実的な目安は自己資金の3倍前後です。総額600万円の計画なら、自己資金150万円では苦しく、200万円あれば現実的なライン、という感覚です。詳しくは自己資金100万・300万・500万で借りられる金額の現実にまとめています。
よくある質問
- Q. 飲食店の開業資金は、平均いくらですか?
- A. 平均値はあまり役に立ちません。10坪のカフェと30坪の居酒屋では別世界だからです。自分の業態と坪数で、上の6費目を積み上げるのが唯一の正解です。
- Q. 開業資金を抑えるなら、どこから削るべきですか?
- A. 削る順は、什器・備品(中古化)→ 内装の仕様 → 物件(家賃を下げる)です。逆に、運転資金と、壊れたら営業が止まる設備は削ってはいけません。
- Q. 資金が足りない場合、どうすればいいですか?
- A. 選択肢は、規模を縮める・貯めてから開く・借入で埋める、の3つです。借入で埋める場合は創業融資が第一候補になります。無理な規模で始めるより、小さく開けて増築するほうが生存率は上がります。
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この記事は飲食店の開業・創業融資ガイドの一部です。資金の全体像、物件と設備、創業計画書、融資の申込までを準備の段階順にまとめています。