居酒屋の開業資金は、15坪の居抜きで900万〜1,400万円が目安です。
ただし居酒屋は、資金額よりも先に決めるべきことがあります。ドリンクとフードの売上構成比です。
ここが決まらないと、必要な厨房も、席のレイアウトも、そして返せる借入額も決まりません。この記事は売上構成から逆算する順序で書きます。
まず決めるのは「ドリンク比率」
居酒屋の利益はドリンクで出ます。フードの原価率が30〜35%なのに対し、ドリンクは20%前後、ハイボールやサワーなら10%台に収まることもあります。
売上に占めるドリンクの割合が40%か、25%かで、同じ月商でも残る利益がまったく違います。
ドリンク比率が高い店(40%前後)
立ち飲み、大衆酒場、串もの中心。厨房は軽く済み、回転が速い。ただし客単価が低いため、席数と回転で稼ぐ設計になります。
ドリンク比率が低い店(25%前後)
フード寄りの和食系、海鮮居酒屋、コース主体。厨房が重くなり、仕込みの手間も増えます。客単価は上がりますが、原価と人件費が乗ってきます。
どちらが良いという話ではありません。どちらで行くかを決めないまま物件を探すと、設備も席数もちぐはぐになるという話です。
売上構成から必要設備が決まる
ドリンク比率を高く設計するなら、必要なのは製氷機の能力とドリンク動線です。生ビールを出すならビールサーバーと冷却機、そして樽の保管スペース。カウンター内で完結する設計にすると、人がひとり減らせます。
フード比率を高く設計するなら、コンロ口数、焼き台、揚げ物、冷蔵・冷凍の容量が要ります。刺身を出すなら、保健所との関係で生食用の取り扱い設備と動線が問われます。
製氷機は特に見落とされます。ドリンク中心の店で製氷機の能力が足りないと、ピーク時に氷が切れます。日産能力は席数と回転から逆算してください。
居酒屋の開業資金レンジ
15坪・居抜き(前が飲食店)
- 物件取得費:200万〜350万円
- 内装工事(部分改装):200万〜450万円
- 厨房機器(残置活用・不足分):150万〜350万円
- 什器・食器・グラス類:60万〜120万円
- 諸費用(許可・宣伝・初期仕入):50万〜90万円
- 運転資金(6ヶ月分):250万〜400万円
合計:910万〜1,760万円
20坪・スケルトン・個室あり
- 物件取得費:300万〜500万円
- 内装工事(個室造作を含む):800万〜1,400万円
- 厨房機器:350万〜600万円
- 什器・備品:100万〜160万円
- 諸費用:60万〜100万円
- 運転資金(6ヶ月分):350万〜500万円
合計:1,960万〜3,260万円
個室は単価を上げられる一方、造作費がかさみ、席効率が落ちます。個室を何室つくるかは、想定する客層と単価から決めてください。
費目ごとの内訳は飲食店の開業資金の内訳で詳しく扱っています。
深夜営業をするなら届出が必要
午前0時を超えて酒類を提供する場合、深夜における酒類提供飲食店営業の届出を警察署に出します。営業所の図面や求積図が必要で、用途地域によっては届出そのものができない場所があります。
物件を決めてから「ここでは深夜営業できない」と分かるのが最悪のパターンです。深夜帯の売上を計画に入れるなら、契約前に用途地域を確認してください。
物件の見方は飲食店の物件探しで手順化しています。
売上計画から返済額を逆算する
15坪28席、客単価3,200円、平日1.2回転・週末1.8回転で、月商はおよそ390万円です。
ここから原価(ドリンク比率35%想定で全体28%)、人件費(25%)、家賃(10%)、水道光熱(7%)、その他経費を引くと、営業利益は月30万〜50万円というレンジになります。
月の返済が20万円なら、この利益から出せます。しかし内装にこだわって借入が増え、返済が月35万円になると、途端に苦しくなります。設備投資の判断は、返済額の上限から逆算するのが順序です。
投資額の考え方は飲食店が失敗する5つのパターンでも触れています。
よくある質問
- Q. 居酒屋の開業資金はいくらですか?
- A. 15坪の居抜きで900万〜1,800万円、20坪のスケルトンで個室を設けると2,000万〜3,300万円が目安です。運転資金6ヶ月分を含みます。
- Q. 居酒屋のドリンク比率はどのくらいが理想ですか?
- A. 一律の正解はありません。ドリンク比率が高いほど利益率は上がりますが、客単価が下がるため席数と回転が必要になります。業態を決めてから逆算してください。
- Q. 深夜営業に許可は必要ですか?
- A. 午前0時以降も酒類を提供するなら、警察署への深夜酒類提供飲食店営業の届出が必要です。用途地域によっては届出できない場所があるため、物件契約前に確認してください。
- Q. 居酒屋の運転資金はどのくらい見ておくべきですか?
- A. 6ヶ月分が目安です。居酒屋は歓送迎会や忘年会など季節で売上が動く業態で、閑散期の資金繰りを織り込む必要があります。
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この記事は飲食店の開業・創業融資ガイドの一部です。資金の全体像、物件と設備、創業計画書、融資の申込までを準備の段階順にまとめています。