飲食店の物件探し|家賃と坪数は「借りられる金額」から逆算する

創業融資

物件探しから始めると、飲食店の開業は失敗しやすくなります。

順番が逆だからです。先に「いくらまで借りられるか」を掴み、そこから払える家賃を逆算する。物件はその範囲で探す。この順番なら、契約してから資金が足りないと気づく事故が起きません。

この記事では、その逆算を4つのステップでやります。

ステップ1:調達可能額を掴む

使えるお金の上限は「自己資金+借入」です。

創業融資の借入目安は自己資金の3倍前後。自己資金200万円なら、総額800万円前後が計画の上限になります。まずこの数字を出してください。物件サイトを開くのはそのあとです。

自分の場合いくらになるかは、AI創業計画書ツールで15分あれば試算できます。

ステップ2:総額を配分する

総額800万円なら、配分のたたき台はこうなります。

  • 物件取得費:2〜3割
  • 内装・厨房・什器:4〜5割
  • 運転資金:2〜3割

物件取得費が240万円なら、保証金が家賃の8ヶ月分の物件で家賃25万円前後が上限、という計算になります。探すべき家賃帯が、物件を見る前に決まりました。

ステップ3:家賃から売上ラインを確認する

家賃が決まったら、その家賃で商売が成り立つかを確かめます。目安として使われるのが「家賃は月商の10%以内」です。

家賃25万円なら月商250万円。25日営業で1日10万円。客単価1,000円のカフェなら1日100人、客単価4,000円の居酒屋なら1日25組前後。この数字を、その立地で現実に出せるか。これが物件を見るときの本当の問いです。

内見のときに座席数と回転のイメージを重ねてください。売上の組み立て方は売上予測の立て方で詳しく書いています。

ステップ4:契約は融資と並行で進める

いい物件が見つかっても、すぐ本契約してはいけません。融資が否決されたら、保証金が宙に浮きます。

正しい順番は、仮押さえ(申込)→ 融資の見通しを付ける → 本契約。物件と融資は「どちらが先」ではなく並行です。この進め方は物件契約のタイミングに詳しくまとめています。

「いい物件」の定義が変わる

この逆算をやると、物件の見え方が変わります。駅近で内装がきれいな物件が「いい物件」なのではなく、自分の調達力と売上計画に収まる物件が「いい物件」です。

背伸びした物件で始めた店は、家賃が重く、価格を上げざるを得ず、客足が伸びる前に運転資金が尽きます。物件は妥協ではなく、計算で選ぶものです。

よくある質問

Q. 飲食店の物件は、駅から近いほうがいいですか?
A. 業態によります。ランチ主体や回転勝負の店は駅近の意味が大きいですが、予約制や目的来店の店は、駅距離より家賃の軽さが効きます。家賃が軽ければ損益分岐点が下がります。
Q. 物件が決まっていないと、融資の相談はできませんか?
A. 相談は物件が決まる前からできます。候補物件の家賃で試算しておくと、決まってからの動きが早くなります。最終的な申請には物件の情報が必要です。
Q. 家賃は月商の10%というのは絶対ですか?
A. 絶対ではなく警戒ラインです。原価率の低い業態なら15%でも回ることがあります。大事なのは、家賃を含めた固定費の合計と売上のバランスで見ることです。

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この記事は飲食店の開業・創業融資ガイドの一部です。資金の全体像、物件と設備、創業計画書、融資の申込までを準備の段階順にまとめています。