飲食店の開業準備は、逆算で組まないと必ずどこかで詰まります。
とくに詰まりやすいのが物件契約・融資申請・保健所の許可・工事の着工の4つの順番です。ここを間違えると、空家賃が膨らむか、開業が遅れます。
12ヶ月前から開店日までを月単位で並べます。期間が短い方は、後半から逆算して読んでください。
12ヶ月前〜10ヶ月前:業態と数字の骨格を決める
やることは3つです。
- 出すメニューと客単価を決める
- 想定する坪数・席数・エリアを置く
- 自己資金の現在額と、開業までに貯まる額を確認する
この段階で物件は探しません。条件を決める前に物件を見ると、目移りして基準がぶれます。
自己資金は、この時期から意識して積み立ててください。通帳に積み上がる履歴そのものが、後で審査の材料になります。
9ヶ月前〜7ヶ月前:資金計画をつくる
- 開業資金の総額を費目ごとに積み上げる
- 内装業者に概算見積を依頼する(物件未定でも可)
- 厨房機器のリストと概算価格を出す
- 自己資金と借入の割合を決める
総額が出たら、返済できる借入額かどうかを確認します。月の返済額が、想定利益と減価償却の合計に収まっているか。ここで無理があるなら、この時点で規模を落とします。
費目の抜けを防ぐには飲食店の開業資金の内訳を使ってください。
6ヶ月前〜5ヶ月前:物件探しと創業計画書の作成
ここで初めて物件を本格的に探します。決めた条件に合うかどうかで判断できる状態になっているはずです。
並行して創業計画書を書き始めます。物件が決まる前に8割まで作っておくのがコツです。物件が決まった瞬間に数字を差し替えれば完成する状態にしておくと、契約から申請までの時間が縮みます。
見るべき点は飲食店の物件探しと居抜き物件とはにまとめています。
4ヶ月前:物件契約と融資申請
ここが一番の山です。順番を間違えないでください。
- 物件の申込・仮押さえ
- 内装業者から正式な見積書を取る(融資の設備資金の根拠になります)
- 物件契約
- 融資申請
見積書は融資申請の必要書類です。契約してから見積を取り始めると、その間の家賃が丸ごと無駄になります。
物件契約のタイミングについては物件契約のタイミングで創業融資の通過率は変わるで詳しく扱っています。
3ヶ月前:面談と融資決定
申請から2〜3週間で面談があります。計画書の中身について質問されます。
面談後、通常2週間から3週間で結果が出ます。決定してから着工です。融資決定前に着工すると、否決された場合に工事費の支払い義務だけが残ります。
この時期に並行してやること:
- 保健所へ事前相談(図面を持参)
- 消防署へ相談(防火対象物使用開始届の要否確認)
- 深夜営業をするなら警察署へ相談
保健所の事前相談は着工前です。図面段階で相談すれば、シンクの数や手洗いの位置を工事前に直せます。完成後に指摘されると作り直しです。
2ヶ月前:内装工事
- 着工(融資決定後)
- 厨房機器の発注(納期は2週間〜1ヶ月かかるものがあります)
- 什器・食器・備品の手配
- スタッフ募集の開始
厨房機器は納期が読みにくい品目があります。特注のものや人気機種は1ヶ月以上待つことがあるため、発注は早めに。詳しくは厨房機器の揃え方を参照してください。
1ヶ月前:許可申請と最終準備
- 工事完了
- 保健所へ営業許可申請(施設検査の日程調整)
- 施設検査 → 営業許可証の交付
- 食品衛生責任者の資格確認
- 防火管理者の選任届(収容人数30人以上の場合)
- スタッフ研修・メニューの最終調整
- 税務署へ開業届・青色申告承認申請書
営業許可証が出るまで営業できません。検査から交付まで数日かかるため、開店日はそこから逆算してください。
開店月:プレオープンと本オープン
いきなり本オープンせず、2〜3日プレオープンを入れるとオペレーションの穴が見つかります。関係者や近隣への挨拶回りもこの時期です。
開店後の税務手続きは、開業届のほかにも期限のあるものがあります。従業員を雇うなら給与支払事務所等の開設届も必要です。
期間が足りない場合にどこを削るか
12ヶ月取れない方も多いはずです。圧縮するなら、削っていいのは前半です。
削ってはいけないのは、物件契約から融資決定までの流れ。ここを急ぐと、見積なしで申請する、融資決定前に着工する、といった無理が出ます。どちらも後で高くつきます。
典型的な失敗は飲食店が失敗する5つのパターンにまとめています。
よくある質問
- Q. 飲食店の開業準備は何ヶ月前から始めるべきですか?
- A. 12ヶ月あれば余裕があります。最短でも6ヶ月は見てください。物件契約から融資決定まで1ヶ月半、工事に1〜2ヶ月、許可申請に2週間程度かかります。
- Q. 物件契約と融資申請はどちらが先ですか?
- A. 物件契約が先です。ただし契約前に内装の正式見積を取っておいてください。見積書は融資申請の必要書類で、契約後に取り始めると審査期間中の家賃が無駄になります。
- Q. 融資が決まる前に内装工事を始めてもいいですか?
- A. 避けてください。否決された場合、工事費の支払い義務だけが残ります。また着工済みの工事は設備資金の対象外と判断されることがあります。
- Q. 保健所への相談はいつすればいいですか?
- A. 着工前、図面ができた段階です。シンクの数や手洗いの位置は基準があり、完成後に指摘されると作り直しになります。事前相談は無料です。
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この記事は飲食店の開業・創業融資ガイドの一部です。資金の全体像、物件と設備、創業計画書、融資の申込までを準備の段階順にまとめています。