「なぜ月商250万円と言えるんですか?」
公庫の面談で、いちばん突っ込まれるのがここです。創業計画書のなかで、売上予測ほど見られる欄はありません。
この質問に、掛け算で答えられますか? 答えられるかどうかで、計画書全体の信頼が決まります。
この記事では、飲食店の売上予測の立て方を、日本政策金融公庫の審査で通用する組み立て方に絞って解説します。
売上予測の基本式:席数×客単価×回転数×営業日数×稼働率
飲食店の売上予測は、この掛け算だけで組みます。
月間売上 = 席数 × 客単価 × 回転数 × 月間営業日数 × 稼働率
例を出します。12席のカフェ、客単価700円、1日3回転、月26日営業、稼働率60%。12席×700円×3回転=満席時25,200円/日。これに×26日×60%で、月39.3万円です。
「思ったより少ない」と感じましたか? それが現実の数字なんです。ここからテイクアウト分や夜営業分を、別の式として足していきます。
昼と夜で客単価や回転が違う業態は、必ず昼の式+夜の式に分けてください。式を分けてあること自体が「考えた跡」として、審査で評価されます。
各パーツの決め方|審査で通る数字の根拠
客単価:メニュー構成から積み上げる
希望額ではなく、看板メニューの価格×注文パターンで決めます。
「ドリンク500円+フード300円を7割の客が注文。だから客単価710円」。このように、メニュー表から逆算できる数字にしてください。
回転数:業態の相場から大きく外さない
目安はこうです。カフェの昼で2〜3回転。ランチ営業のレストランで1.5〜2回転。居酒屋の夜で1〜1.5回転。
前職の店の実測値があれば、最強の根拠になります。「前の店では昼2.4回転でした」。面談でこう言えたら強いです。
稼働率:当初60%前後が現実的なライン
開業初月から満席の計画。審査側には「楽観的すぎる」と映ります。
創業当初は50〜60%、軌道に乗った後(6ヶ月〜1年後)で80%前後。これが、現実的と評価されやすい水準です。当初70%超で組むなら、裏付ける材料が要ります。前職からの固定客、予約済みの宴会などです。
「当初」と「軌道後」の2段階で作る
公庫の様式を見てください。事業の見通しは「創業当初」と「軌道に乗った後」の2列で書く構造になっています。
つまり、公庫自身が「最初から満席とは思っていない」ということなんです。
稼働率だけを変えて2段階の売上を作る。そして軌道に乗るまでの期間(何ヶ月後か)とその根拠をセットで言えるようにしておきます。
売上予測を作ったら、必ず「逆算検証」する
組み上がった売上から、原価(飲食店の相場は30%前後)と経費(家賃・人件費・水道光熱ほか)を引いて、利益を出します。
その利益が月々の返済額の2倍以上残っているか。ここまで確認して、初めて売上予測は完成です。
利益がトントンだったら? 売上を盛るのではなく、家賃や借入額の方を見直します。全体の流れは飲食店が公庫から創業融資を受ける方法【完全ガイド】で解説しています。
やってはいけない売上予測3パターン
①願望ベース。「月商300万は欲しい」から逆算した数字。式がないので、すぐ見抜かれます。
②右肩上がりすぎ。毎月10%成長が1年続く前提です。
③根拠なき高稼働。初月から稼働90%。計画書のNGワードと同じで、担当者は毎日この種の数字を見ています。
売上を現実的に直すと、必要な自己資金や借入額も変わってきます。自己資金と借りられる金額のバランスと、物件選び(居抜きかスケルトンか)による初期投資の違いもあわせて確認してください。
まとめ
売上予測は「当てる」ものではありません。「説明できる形に組む」ものです。
席数×客単価×回転数×営業日数×稼働率。パーツごとに根拠を持つ。当初と軌道後の2段階で作る。利益から逆算検証する。
この型で作った売上予測は、面談で堂々と語れます。
よくある質問
- Q. 飲食店の売上予測はどう立てればいいですか?
- A. 席数 × 満席率 × 回転数 × 客単価 × 営業日数で組み立てます。ランチとディナーでは客単価も回転数も違うため、時間帯を分けて計算してください。
- Q. 売上予測の根拠として何を示せばいいですか?
- A. 席数と営業時間は物件と営業計画から、客単価はメニュー構成から、回転数は近隣の同業態の状況から説明します。数字の出どころを言えることが根拠です。
- Q. 開業初月から満席想定で書いてもいいですか?
- A. 現実的ではありません。認知が広がるまでの立ち上がりを織り込んだ計画のほうが、面談での説明が通ります。
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この記事は飲食店の開業・創業融資ガイドの一部です。資金の全体像、物件と設備、創業計画書、融資の申込までを準備の段階順にまとめています。