厨房機器の耐用年数 早見表|飲食店の減価償却と居抜き(中古)設備の計算方法

創業融資

「この業務用冷蔵庫、耐用年数は何年で落とせばいいですか」

開業した飲食店のオーナーから、最初の決算の前に必ず聞かれる質問です。答えは資産の種類で変わります。業務用の厨房設備なら8年。家庭用と同じ型の冷蔵庫や電子レンジなら6年。食器は2年。客席の椅子とテーブルは5年。内装の電気や給排水は15年。

この記事では、飲食店の厨房機器と内装の耐用年数を、国税庁の耐用年数表にもとづいて早見表にしました。居抜きで買った中古設備の計算、40万円未満の機器を一括で経費にする特例、そして減価償却費が融資の返済原資になる仕組みまで。順番に整理します。

先に結論を3行で。

  • 厨房機器の耐用年数は「業務用の厨房設備は8年、電気機器は6年、食器は2年」が基本。迷ったらこの3つに当てはめる
  • 居抜きで引き継いだ中古設備は簡便法で短くできる。8年の設備を3年落ちで買えば5年、6年の冷蔵庫を4年落ちで買えば2年
  • 減価償却費は現金の出ない費用。毎年の返済原資は「税引後利益+減価償却費」で見る

厨房機器の耐用年数は何年か|業務用は8年、電気機器は6年、食器は2年

耐用年数は、国税庁の「減価償却資産の耐用年数表」で決まっています。飲食店の厨房まわりで使う区分は3つです。

1つめは、別表第二の「飲食店業用設備」で8年。ガスレンジ、フライヤー、焼き台、食器洗浄機、製氷機、業務用の冷蔵冷凍庫、コールドテーブル、フード付きの排気ダクトなど、店の厨房として一体で機能する設備はここに入ります。

2つめは、別表第一の器具及び備品にある「電気冷蔵庫、電気洗濯機その他これらに類する電気又はガス機器」で6年。家庭用と同じ型の冷蔵庫、電子レンジ、炊飯器、コーヒーメーカーなど、単体で動く電気機器はこちらです。業務用の冷蔵庫をどちらで見るかは判断が分かれるところで、厨房設備の一部として8年で処理する事務所もあれば、単体の電気機器として6年で処理する事務所もあります。どちらかに決めたら、店の中で統一してください。

3つめは「食事又はちゅう房用品」で、陶磁器製とガラス製は2年、それ以外(金属の鍋、ボウル、バットなど)は5年。ただし食器や鍋は1個あたり10万円未満のものがほとんどなので、実務では消耗品費として買った年に全額経費にします。耐用年数を気にするのは、1点で10万円を超えるものだけです。

厨房機器・内装の耐用年数 早見表(国税庁 耐用年数表ベース)

飲食店で出てくる資産を、区分ごとにまとめました。

資産 耐用年数 区分・補足
ガスレンジ・フライヤー・焼き台・食洗機・製氷機・業務用冷蔵冷凍庫・排気フード 8年 機械及び装置「飲食店業用設備」
家庭用型の冷蔵庫・電子レンジ・炊飯器・コーヒーメーカー 6年 器具備品「電気冷蔵庫等の電気又はガス機器」
冷蔵ショーケース・冷凍ショーケース 6年 器具備品「陳列だな及び陳列ケース(冷凍機付・冷蔵機付)」。冷却機能なしは8年
電気式でない冷蔵ストッカー・氷冷蔵庫 4年 器具備品
食器・グラス・徳利(陶磁器製・ガラス製) 2年 器具備品「食事又はちゅう房用品」。10万円未満は消耗品
鍋・ボウル・バット・包丁(金属製など) 5年 同上「その他のもの」
客席のテーブル・椅子・カウンターチェア 5年 器具備品「その他の家具(接客業用のもの)」。飲食店は接客業用で5年
応接セット(待合のソファ等) 5年 器具備品「応接セット(接客業用)」
壁掛け・床置きのエアコン 6年 器具備品「冷房用又は暖房用機器」
天井埋込の業務用空調(ダクト配管を含む) 13年または15年 建物附属設備「冷暖房設備」。冷凍機の出力22kW以下は13年
電気設備・照明設備 15年 建物附属設備
給排水設備・衛生設備・ガス設備・グリストラップ 15年 建物附属設備
消火設備・排煙設備・火災報知設備 8年 建物附属設備
店用簡易装備(陳列棚、簡易な間仕切り、取り外せる化粧板など) 3年 建物附属設備「店用簡易装備」
賃借店舗の内装造作(壁・床・天井・固定カウンター) 合理的に見積もった年数(実務では10〜15年が多い) 建物。更新できない賃借期間の定めがある契約なら賃借期間
看板・ネオンサイン・電飾看板 3年 器具備品「看板、ネオンサイン及び気球」
金属製の袖看板・置き看板 10年 器具備品「看板及び広告器具 その他のもの(主として金属製)」。金属製以外は5年
レジ・POS端末・券売機 5年 器具備品「金銭登録機」等
パソコン・タブレット 4年 器具備品「パーソナルコンピュータ」
音響設備・BGM機器 5年 器具備品「音響機器」
電話設備 6年 器具備品「デジタルボタン電話設備」。その他の通信機器は10年
のれん・カーテン・座布団 3年 器具備品「繊維製品」。10万円未満は消耗品
じゅうたん・カーペット(客席) 3年 器具備品「床用敷物(接客業用)」
時計 10年 器具備品
自動販売機 5年 器具備品

使い方のコツは、見積書の項目をこの表に当てはめていくことです。内装工事の見積が「一式」だと、どれが15年でどれが3年か分けられません。電気、給排水、空調、造作、什器と項目を分けた見積をもらう理由は、値引き交渉のためだけではなく、この仕分けのためでもあります。見積の読み方は店舗の内装費用|見積書の見方と減額交渉のポイントに、機器の選び方は厨房機器の揃え方|新品・リース・中古の使い分けにまとめています。

居抜き物件の厨房機器は、中古資産の耐用年数(簡便法)で計算する

居抜きで店を引き継ぐと、造作譲渡料として前のオーナーに一括でお金を払います。この中身は「内装」と「厨房機器」の中古資産です。中古資産は法定耐用年数をそのまま使わず、次の簡便法で短い年数にできます。

  • 法定耐用年数をすべて経過した資産: 法定耐用年数×20%
  • 一部を経過した資産: (法定耐用年数−経過年数)+経過年数×20%
  • いずれも1年未満の端数は切り捨て。計算結果が2年未満なら2年

具体例で見ます。8年の厨房設備を、3年使ったものを買った場合。(8−3)+3×0.2=5.6年、端数を切って5年です。6年の冷蔵庫を4年落ちで買った場合。(6−4)+4×0.2=2.8年で、2年。8年の設備を10年使ったものを引き継いだ場合は、8×0.2=1.6年で、最低の2年になります。

新品なら8年かかる償却が、居抜きなら2〜5年で終わる。開業初期の経費が大きくなるので、初年度の税金が軽くなります。これは居抜きの、あまり語られない利点です。

ただし注意が2つあります。1つは、造作譲渡料の内訳です。契約書に「造作一式300万円」としか書いていないと、内装と厨房機器に分けられず、耐用年数も決められません。譲渡契約の段階で、内装(造作)と厨房機器と什器に金額を分けて書いてもらってください。もう1つは、引き継いだ設備に大きな手を入れる場合です。中古資産の取得価額の50%を超える改修をすると簡便法は使えなくなり、新品価格の50%を超える改修なら法定耐用年数に戻ります。前の店の厨房を全部入れ替えるような居抜きは、税務上は新品と同じです。

居抜きで何が引き継げて何が引き継げないかは居抜き物件とは|引き継げるもの・引き継げないものに書きました。

減価償却の方法|個人は定額法、法人は定率法が原則

耐用年数が決まったら、次は計算方法です。個人事業主は何も届け出なければ定額法。毎年同じ額を経費にします。法人は厨房機器などの機械装置と器具備品について、届出がなければ定率法。初年度に大きく、あとは小さく経費になります。ただし建物と建物附属設備は、個人も法人も定額法しか使えません。内装の造作や電気・給排水設備は、定額法で毎年一定額です。

年の途中で開業した場合は月割りです。10月に開業すれば、初年度の減価償却費は12か月分ではなく3か月分。開業初年度の利益が思ったより出るのは、この月割りも一因です。

40万円未満の厨房機器は一括で経費にできる(少額減価償却資産の特例)

金額が小さい資産は、耐用年数で割らずに一括で経費にできます。3段階あります。

  • 1点10万円未満: 消耗品費として、買った年に全額経費。青色・白色を問わない
  • 10万円以上20万円未満: 一括償却資産として3年で均等に経費(耐用年数に関係なく3分の1ずつ)
  • 40万円未満: 青色申告の中小企業者・個人事業主なら、買った年に全額経費(年間合計300万円まで)

3つめの「少額減価償却資産の特例」は、令和8年度の税制改正で上限が30万円未満から40万円未満に引き上げられ、適用期限は令和11年3月31日までとなりました。業務用の冷蔵庫、製氷機、小型の食洗機、POS端末、客席の椅子とテーブルは、1点40万円未満に収まるものが多い。開業年は買うものが多いので、300万円の枠をどう使うかで初年度の税金が変わります。

前提は青色申告です。開業したら青色申告承認申請書を期限内に出してください。開業後の届出の期限は飲食店の開業後の税務スケジュールにまとめています。

リースで入れた厨房機器は、所有権が移らない通常のリースなら、リース料がそのまま経費です。減価償却も耐用年数も関係ありません。買うかリースかで、経費の出方が変わることも覚えておいてください。

厨房の耐用年数と融資の返済期間をそろえる|減価償却費は返済原資になる

ここからが、この記事でいちばん伝えたいことです。減価償却を理解していないと、創業計画書の返済計画が組めません。

借入の返済は経費になりません。返済に回せるお金は「税引後利益+減価償却費」です。減価償却費は現金が出ていかない費用なので、その分は手元に残ります。つまり、減価償却費が大きい年は、帳簿上の利益が小さくても返済能力はある。逆に、償却が終わった年から返済原資は目減りします。

数字で見ます。内装800万円を15年で償却すると年53万円。厨房機器400万円を8年なら年50万円。合計で年103万円が、現金の出ない費用として計上されます。税引後利益が年150万円なら、返済原資は年253万円、月21万円です。借入1,500万円を10年で返す元金は月12万5,000円ですから、この計画は回ります。

問題は9年目です。厨房機器の償却が終わり、返済原資は年50万円減る。ちょうどその頃、8年使った冷蔵庫やフライヤーの買い替えもやってくる。返済期間を耐用年数より長く取ると、後半でこの二重の負担が来ます。

だから公庫の設備資金は、耐用年数を目安に返済期間を組みます。厨房機器なら7〜8年、内装なら10〜15年。据置期間を使うなら、その分も含めて考える。返済原資の考え方は飲食店の創業融資|審査の数字の本丸は「利益」に、返済計画で落ちるパターンは公庫審査に落ちる創業計画書のNG例に書いています。

厨房機器の減価償却でよくある間違い5つ

最初の決算で見かける間違いを並べます。

1つめは、開業前に買った機器を開業費に入れてしまうこと。開業費は開業準備のための支出ですが、10万円以上の厨房機器は開業前に買っても固定資産です。開業日から減価償却を始めます。

2つめは、厨房機器を「一式」で1つの資産にすること。冷蔵庫と食洗機と製氷機は別の資産です。まとめると、1台壊れて処分したときに除却損が出せません。

3つめは、造作譲渡料を払った年に全額経費にしてしまうこと。中古資産の取得なので、簡便法の耐用年数で償却します。

4つめは、修繕費と資本的支出の混同です。壊れた部品の交換は修繕費で全額経費。一方、性能を上げる改造や、フードの新設は資本的支出で資産計上です。

5つめは、耐用年数と返済期間をばらばらに決めること。ここまで読んでいただいた方は、もう大丈夫だと思います。

よくある質問

Q. 厨房機器の耐用年数は何年ですか?
A. 業務用の厨房設備(ガスレンジ、フライヤー、食洗機、製氷機、業務用冷蔵冷凍庫など)は「飲食店業用設備」として8年です。家庭用型の冷蔵庫、電子レンジ、炊飯器などの電気機器は6年、冷蔵ショーケースは6年、食器は2年、客席の椅子とテーブルは接客業用として5年が目安です。
Q. 居抜きで買った中古の厨房機器の耐用年数はどう計算しますか?
A. 簡便法を使います。法定耐用年数の一部を経過した資産は「(法定耐用年数−経過年数)+経過年数×20%」、すべて経過した資産は「法定耐用年数×20%」で、1年未満は切り捨て、最低2年です。8年の設備を3年落ちで買えば5年、6年の冷蔵庫を4年落ちなら2年になります。造作譲渡契約では内装と機器の金額を分けて書いてもらってください。
Q. 飲食店の内装工事の耐用年数は何年ですか?
A. 賃借物件の内装造作は「建物」として、材質や用途から合理的に見積もった年数で償却し、実務では10〜15年が多い設定です。電気設備、給排水・ガス設備は建物附属設備として15年、業務用空調は13年または15年、取り外せる店用簡易装備は3年です。更新できない賃借期間の定めがあれば、その期間で償却します。
Q. 35万円の業務用冷蔵庫を買った場合、一括で経費にできますか?
A. 青色申告の中小企業者・個人事業主なら、少額減価償却資産の特例で買った年に全額経費にできます。令和8年度の税制改正で上限が30万円未満から40万円未満に引き上げられ、年間合計300万円まで、適用期限は令和11年3月31日までです。白色申告の場合は使えないので、8年または6年で減価償却します。

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当事務所は川崎駅徒歩8分、飲食店専門の会計士税理士事務所です。日本政策金融公庫の担当者と日常的に連携しており、創業融資を計画段階からサポートしています。設備資金の見積の仕分けから返済計画の組み立て、公庫面談の同席まで対応。費用は完全成功報酬(融資実行額の4%、最低20万円税別、通らなければ0円)。開業後の減価償却や確定申告のご相談も、オンラインで全国から受けています。

この記事は飲食店の開業・創業融資ガイドの一部です。資金の全体像、物件と設備、創業計画書、融資の申込までを準備の段階順にまとめています。