飲食店の創業融資|審査の数字の本丸は「利益」——金融機関が返済財源をどう計算しているか

創業融資

「月商300万円あるから、月20万円の返済くらい大丈夫でしょう」

そう思っていませんか? 実はこの考え方、審査側の計算と噛み合っていないんです。

金融機関は何を返済の原資と見ているか。ここが分かると、計画書のどの数字を大事にすべきかが一気にクリアになります。

返済財源は売上ではなく「利益+減価償却費」

売上がいくら大きくても、原価と経費を払った後に残らなければ、返済はできません。

金融機関が返済財源として見るのは、利益、正確には「利益+減価償却費」で計算されるキャッシュフローです。

なぜ減価償却費を足し戻すのか。これが「お金の出ていかない経費」だからです。

内装工事1,000万円を10年で償却すると、年100万円の経費が計上されます。でも、実際のお金は開業時に払い済み。毎年出ていくわけではありません。だから、手元に残るお金は「利益+減価償却費」になる。

この金額が年間の返済額を上回っているか。審査の数字の核心は、ここです。

計画書に落とすとこうなる

たとえば、月商250万円・原価率32%・経費120万円の計画。月の利益は50万円です。内装等の減価償却が月10万円あれば、キャッシュフローは月60万円。

ここから月々の返済(仮に700万円借入・7年返済で月9万円弱)を引いても、十分に残ります。こういう「返済財源の物語」が数字で語れていれば、計画書は強いんです。

逆に、利益がトントンの計画はどうか。審査側から見ると「返済原資ゼロの計画」です。売上を盛る前に、利益が残る構造かを確認してください。

売上の数字は「仕組み」で語る

利益の出発点になる売上予測。ここで見られるのは、金額の大小より組み立ての説明可能性です。

飲食店なら、席数×客単価×回転数×営業日数。この掛け算で組み立ててあれば、担当者はどの前提が妥当かを検証できます。

「経験上これくらいいけると思います」では、検証のしようがありません。検証できない数字は、信用されない数字です。

もう一つ。月ごとの入金と支払いのタイミングも意識してください。カード売上の入金は翌月。仕入の支払いは月末締め翌月払い。売上と利益が立っていても、入出金のズレで資金が詰まる。これが飲食店の典型的な失敗パターンです。

赤字の月があっても、語れれば大丈夫

開業当初は赤字。よくあることですし、それ自体は致命傷ではありません。

審査側が知りたいのは、赤字の理由と、黒字化までの道筋を経営者自身が説明できるかです。

「開業から3ヶ月は認知が広がるまで稼働6割で見ています。4ヶ月目以降、リピートと口コミで8割に乗せる計画です。根拠は前職の店の立ち上がりの実感値です」。ここまで言えれば、当初赤字の計画でも評価されます。

数字の弱点は、隠すのではなく説明する。これが正解です。

まとめ

審査の数字は、売上の大きさ比べではありません。

利益が残る構造か。その利益で返済できるか。そして、数字の組み立てを自分の言葉で説明できるか。この3つです。

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この記事は飲食店の開業・創業融資ガイドの一部です。資金の全体像、物件と設備、創業計画書、融資の申込までを準備の段階順にまとめています。