飲食店が失敗する5つのパターン|つぶれる店は開業前に決まっている

創業融資

飲食店の廃業理由を調べると、「料理がまずかった」はほとんど出てきません。

出てくるのはお金の話です。それも、開業後の努力ではどうにもならない、開業前の設計ミスが大半を占めます。

10年この仕事をしていて、閉店の相談は何度も受けました。パターンは驚くほど似ています。よくある5つを、開業前に戻れるならどうすべきだったか、という形で書きます。

パターン1:初期投資を使い切って開業する

内装にこだわり、厨房を新品で揃え、開業日に通帳がほぼ空。このパターンがいちばん多い。

開業直後の売上は、想定の半分と思っておくべきです。認知が広がるまで数ヶ月かかります。その間の家賃・人件費・仕入れを払う現金がなければ、料理の腕と関係なく店は終わります。

戻れるなら:総予算の2〜3割を運転資金として最初に確保し、残りで店を作る。順番を逆にしてはいけません。

パターン2:家賃が売上に対して重すぎる

「駅前の好立地だから客は来るはず」で家賃30万円の物件を借り、月商200万円。家賃比率15%。原価と人件費を払うと、自分の給料が出ない。

家賃は開業後に下げられない固定費です。売上は水物ですが、家賃は毎月確実に来ます。

戻れるなら:家賃は月商予測の10%を警戒ラインにする。そして月商予測そのものを、席数×客単価×回転で保守的に組む。売上予測の立て方に計算式があります。

パターン3:借りられるだけ借りる/借金を怖がって借りない

両極端がどちらも失敗します。

借りすぎた店は、毎月の返済が固定費に乗り、売上が計画を割った月に資金繰りが即座に詰まります。逆に、借金を怖がって自己資金だけで小さく始めた店は、運転資金の余力がなく、最初の悪い月を越えられません。

戻れるなら:返済額が「保守的に見た月商」の中に無理なく収まる金額で借りる。借入は怖いものではなく、開業初期を生き延びるための酸素ボンベです。ただしボンベの重さで沈むほど背負ってはいけない。

パターン4:閉店した店の跡地で、同じ理由で閉店する

居抜きで安く借りた。前の店がなぜ閉めたかは聞かなかった。開業してみると、夜の人通りがまったくない立地だった。

居抜き物件は初期費用を大きく下げてくれますが、前の店の失敗理由ごと引き継ぐリスクがあります。設備の話は居抜きで引き継げるもの・引き継げないものに書きましたが、いちばん大事な確認は閉店理由です。

戻れるなら:仲介会社と近隣の店に、前の店の閉店理由を必ず聞く。立地が理由なら、家賃がいくら安くても見送る。

パターン5:数字を見ない

毎日忙しく働いているのに、月末にお金が残らない。原価率が何%か聞かれても答えられない。どのメニューが儲かっているか分からない。

これは開業後の話に見えて、実は開業前の問題です。開業前に収支計画を自分で組んだ人は、開業後も数字で店を見ます。計画書を他人任せにした人は、開業後も数字を見ません。

戻れるなら:創業計画書を、融資のための書類ではなく、自分の店の設計図として自分で作る。AIツールを使えば15分で形になります。形にしてから、数字を自分の頭で疑ってください。

よくある質問

Q. 飲食店は何年で何割が廃業するのですか?
A. よく「2年で半分」などと言われますが、統計の取り方で数字は大きく変わります。大事なのは割合より、廃業理由の大半が開業前の資金設計で決まっているという事実です。
Q. 失敗しない立地の選び方はありますか?
A. 絶対はありませんが、「昼と夜の両方の人通りを自分の足で確認する」「前のテナントの閉店理由を聞く」「家賃比率10%で売上が現実的か計算する」の3つで、大きな外れは避けられます。
Q. 開業後に資金が苦しくなったら、どうすればいいですか?
A. 傷が浅いうちに動くことです。追加融資は、資金が尽きる直前より、余力があるうちのほうが通りやすい。毎月の数字を見ていれば、危険は3ヶ月前に分かります。

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この記事は飲食店の開業・創業融資ガイドの一部です。資金の全体像、物件と設備、創業計画書、融資の申込までを準備の段階順にまとめています。