飲食店の営業許可|保健所への申請の流れと融資との正しい順番

創業融資

飲食店を開くには、保健所の飲食店営業許可が必要です。

手続き自体は難しくありません。問題になるのはタイミングです。工事が終わってから相談に行くと、作り直しになることがあります。

申請の流れを時系列で示し、融資との順番も整理します。

営業許可までの5ステップ

ステップ1:事前相談(着工前)

図面ができた段階で、管轄の保健所に相談に行きます。持っていくのは店舗の平面図と厨房のレイアウト図です。

ここで確認されるのは主に次の点です。

  • シンクの数と大きさ(2槽以上を求められることが多い)
  • 手洗い設備の位置と数(従業員用・客用)
  • 厨房と客席の区画(扉や仕切りの要否)
  • 床・壁・天井の材質(清掃しやすい構造か)
  • 更衣室・従業員用スペース
  • 冷蔵設備の温度計の有無

この相談は無料です。そして着工前に行くのが絶対条件だと考えてください。完成後に「手洗いが足りない」と言われれば、配管からやり直しになります。

基準は自治体ごとに細部が異なります。ネットの一般論ではなく、出店する地域の保健所に確認してください。

ステップ2:食品衛生責任者の資格を取る

店舗ごとに1名、食品衛生責任者を置く必要があります。

調理師・栄養士などの資格があればそのまま該当します。なければ養成講習会を受講します。1日で終わりますが、日程が埋まっていることがあるため早めに申し込んでください。

ステップ3:営業許可の申請(工事完了の少し前)

提出書類は自治体によって差がありますが、おおむね次の通りです。

  • 営業許可申請書
  • 営業設備の大要・配置図
  • 食品衛生責任者の資格を証する書類
  • 水道水以外を使う場合は水質検査成績書
  • 法人の場合は登記事項証明書
  • 申請手数料

申請すると、施設検査の日程が決まります。

ステップ4:施設検査

保健所の担当者が実際に店舗を見て、基準を満たしているか確認します。事前相談どおりに作ってあれば、通常は問題ありません。

検査時には設備が設置済みで稼働できる状態にしておく必要があります。厨房機器が納品されていない、水が出ない、という状態では検査になりません。

ステップ5:営業許可証の交付

検査に通ると許可証が交付されます。交付までに数日かかります。当日その場で受け取れるとは限りません。

許可証が出るまで営業できません。開店日はここから逆算してください。

融資との順番

保健所の手続きと融資は、別々の流れですが交差します。正しい順番はこうです。

  1. 図面作成
  2. 保健所へ事前相談(図面段階)
  3. 指摘があれば図面修正
  4. 修正後の図面で内装の正式見積を取る
  5. 物件契約
  6. 融資申請(見積書を添付)
  7. 融資決定
  8. 着工
  9. 工事完了前に営業許可を申請
  10. 施設検査 → 許可証交付

ポイントは2と4の順番です。保健所の指摘を反映してから見積を取る。逆にすると、見積を取り直すことになり、融資申請に出した設備資金の金額と実際の工事費がずれます。

金額がずれると、審査の途中で計画の変更を説明することになります。避けられる手間です。

全体の流れは飲食店の開業スケジュールで月別に整理しています。

営業許可以外に必要な届出

業態によっては、これらも必要になります。

深夜における酒類提供飲食店営業の届出(警察署)

午前0時を超えて酒類を提供する場合。用途地域によっては届出できません。

防火対象物使用開始届(消防署)

建物を使い始める前に提出します。内装制限や消火設備の指摘が入ることがあります。

防火管理者の選任届(消防署)

収容人数30人以上の店舗。講習の受講が必要です。

菓子製造業許可など(保健所)

パンや菓子を製造して販売する場合、飲食店営業許可とは別の許可が必要になることがあります。ベーカリー併設のカフェは要確認です。

居抜きでも許可は取り直す

よくある誤解ですが、前のテナントの営業許可は引き継げません。営業者が変われば新規の申請です。

ただし施設が基準を満たしていれば、工事なしで許可が下りることもあります。居抜き物件を見るときは、前の店の許可が現在の基準で通るかを保健所に確認してください。基準は改正されることがあります。

居抜きで引き継げるもの・引き継げないものは居抜き物件とはで整理しています。

よくある質問

Q. 保健所への相談はいつ行けばいいですか?
A. 図面ができた着工前です。シンクの数や手洗いの位置には基準があり、完成後に指摘されると配管からやり直しになります。事前相談は無料です。
Q. 営業許可が下りるまでどのくらいかかりますか?
A. 申請から施設検査までの日程調整に数日から2週間、検査後の許可証交付にさらに数日かかります。自治体によって異なるため、余裕をもって申請してください。
Q. 居抜き物件なら前の店の営業許可を使えますか?
A. 使えません。営業者が変われば新規申請です。ただし施設が基準を満たしていれば工事なしで許可が下りることもあります。基準は改正されるため、現行基準で通るか保健所に確認してください。
Q. 食品衛生責任者は誰がなればいいですか?
A. 店舗ごとに1名必要です。オーナー本人でも従業員でも構いません。調理師・栄養士などの資格があれば該当し、なければ1日の養成講習会を受講します。

川崎・横浜・東京23区で開業予定の方へ

当事務所は川崎駅徒歩8分、飲食店専門の会計士税理士事務所です。日本政策金融公庫の担当者と日常的に連携しており、創業融資を計画段階からサポートしています。オンラインで全国からのご相談も可能です。

創業計画書、AIとの会話だけで作れます

当事務所の「創業計画書AIヒアリング」は、AIの質問に答えていくだけで、日本政策金融公庫様式の創業計画書Excelが完成する無料ツールです。自己資金の出どころや返済バランスの審査チェックつき。飲食店の創業融資に特化しています。登録特典として、15項目の審査チェックリスト付きPDF「公庫融資 審査の着眼点ガイド」もお送りしています。

無料でAIヒアリングを試す →

この記事は飲食店の開業・創業融資ガイドの一部です。資金の全体像、物件と設備、創業計画書、融資の申込までを準備の段階順にまとめています。