川崎で店を出すと決めた。物件も、だいたい見えてきた。
次に立ちはだかるのが、お金をどこから借りるかという話です。
川崎の場合、相談先は大きく2つあります。日本政策金融公庫と、川崎市の制度融資。この記事では両方の現在の条件を並べたうえで、どちらから当たるか、どんな順番で動くかを書きます。
川崎で飲食店を開業するときの資金調達は、公庫と川崎市の2本立て
創業融資と聞いて、多くの方がまず思い浮かべるのが日本政策金融公庫でしょう。
実際、飲食店の開業資金をここから借りる方が一番多い。ただ、川崎で開業するなら、もうひとつ選択肢があります。
川崎市の中小企業融資制度です。市と川崎市信用保証協会、そして取扱金融機関の3者で組む仕組みで、創業者向けには「アーリーステージ対応資金」という枠が用意されています。
この2つは、金利も、返済期間も、申込先も違います。片方だけ見て決めるのは、もったいない。まずは両方の数字を並べてみます。
日本政策金融公庫の創業融資|川崎で申し込むときの流れと金利
公庫の創業融資は「新規開業・スタートアップ支援資金」が中心です。
金利は2026年8月3日現在、国民生活事業の無担保・税務申告を2期終えていない方で、次のようになっています。
- 基準利率:年3.55〜5.25%
- 特別利率A:年3.15〜4.85%
- 特別利率C:年2.65〜4.35%
幅があるのは、返済期間や条件によって変わるからです。金融情勢で改定されるので、申込みの時点で必ず最新の利率表を確認してください。
川崎市内で開業する場合、原則として窓口は日本政策金融公庫の川崎支店です。所在地は川崎区駅前本町11-2、川崎フロンティアビルの11階。川崎駅から歩ける距離です。面談もここで行われます。
なお、どちらの支店に持ち込むかは、事務的に割り振られて終わりとは限りません。支店によって、自己資金の厚みと出どころを重く見るところ、業界での経験年数を重く見るところがあり、同じ計画書でも反応が変わることがあります。融資サポートを専門にしている事務所は複数の支店と日常的にやり取りがあるため、案件に応じて持ち込み先を選んだうえで進められます。この判断は、計画書を仕上げてからではなく、作り始める前にしておくものです。
手続きの流れは、おおむねこうです。
- 事前相談(電話またはオンライン)
- 申込書と創業計画書、見積書、通帳の写しなどを提出
- 支店での面談(1時間前後)
- 物件の現地確認
- 結果連絡、契約手続き、着金
申込みから着金まで、早くて3週間、通常は1か月前後を見ておきます。
ここを甘く見ると、内装工事の着手金の支払いに間に合いません。物件の契約日から逆算して動いてください。逆算の考え方は飲食店の物件探し|家賃と坪数は「借りられる金額」から逆算するに書いています。
川崎市の制度融資「アーリーステージ対応資金」は信用保証料が0円
川崎市のアーリーステージ対応資金は、これから開業する方と、開業後5年未満の方が対象です。
市の案内(2026年6月26日更新)では、条件はこうなっています。
- 融資限度額:3,500万円(創業関連保証の対象となる方)
- 融資利率:年2.2%以内。借入額の3分の1以上の自己資金で創業なら年2.1%以内、2分の1以上なら年2.0%以内
- 融資期間:運転資金7年以内、設備資金10年以内(いずれも据置期間1年以内を含む)
- 信用保証料:年0.000%
- 連帯保証人:個人事業主は不要
注目してほしいのは保証料です。
制度融資は本来、信用保証協会に保証料を払います。所定料率は0.800%。それを川崎市が0.500%助成し、川崎市信用保証協会が0.300%引き下げているため、借受者の負担がゼロになっています。
1,000万円を借りるなら、これだけで数十万円の差です。
金利も年2.0〜2.2%以内。公庫の基準利率と並べると、かなり低い水準になります。
ただし、申込先は市役所ではありません。取扱金融機関、つまり銀行や信用金庫の窓口です。金融機関の審査と、保証協会の審査。2段階を通す必要があります。
もうひとつ。代表者が女性、30歳未満、50歳以上のいずれかに当たる場合は「女性・若者・シニア起業家支援資金」の対象となり、さらに年0.1%の優遇があります。該当するなら、必ず窓口で申し出てください。
公庫と川崎市の制度融資、飲食店はどちらから当たるか
金利と保証料だけを見れば、川崎市のほうが有利に見えます。実際、条件は良い。
では全員が制度融資でいいのかというと、そう単純でもありません。
理由は2つあります。
1つは、審査に時間がかかりやすいこと。金融機関と保証協会、2つの審査を順に通すので、公庫より結果が出るまでが長くなりがちです。
もう1つは、運転資金の返済期間です。川崎市の制度は運転資金7年以内。公庫は運転資金でも10年まで取れる場合があります。
この差は、月々の返済額にそのまま出ます。1,000万円を借りるとして、7年(84回)なら月11.9万円。10年(120回)なら月8.3万円。差は月3.6万円。開業1年目の資金繰りには、はっきり効いてくる金額です。
実務的には、両方に相談したうえで、条件と時期を見て決めるのが現実的です。公庫と民間金融機関が同時に出す協調融資という形もあります。
ただ、どちらを選んでも必要なものは同じです。数字の裏づけがある創業計画書。ここが弱いと、両方とも通りません。落ちる計画書の典型例は公庫審査に落ちる創業計画書のNG例にまとめています。
公庫と制度融資の違い、制度融資が有利になる場面、両方に申し込むときの順番は公庫と制度融資(保証協会)どちらで借りる?|飲食店の創業融資の選び方で比較表にしています。川崎市の制度に当てはめる前に、一度こちらで全体の考え方を押さえてください。
川崎のエリア別|家賃から逆算する飲食店の開業資金
川崎は、駅ごとに客層がまるで違う街です。
川崎駅周辺はラゾーナ、仲見世通り、堀之内。夜の需要が厚く、居酒屋やバルの母数が多い。そのぶん家賃は市内で最も高い水準になります。
武蔵小杉はタワーマンションの住民が中心です。ファミリーと共働き世帯。ランチと週末の需要が読める代わりに、深夜帯は弱くなります。
溝の口、登戸、新百合ヶ丘は生活圏です。家賃が下がり、常連商売が成立しやすい。単価は駅前より落ちますが、固定費も落ちます。
どのエリアでも、考え方の順番は同じです。
物件を見て家賃を決めるのではありません。出せる売上から、家賃の上限を決める。
目安は、家賃が月商の10%以内。月商300万円を見込むなら、家賃は30万円まで。ここを15%まで許すと、開業後にじわじわ効いてきます。
初期費用の総額は、家賃のおよそ10か月分から12か月分がひとつの目安と言われます。家賃30万円なら300万〜360万円、ではなく、これは物件取得費と内装と厨房を全部足した額の話です。内訳の作り方は飲食店の開業資金の内訳で分解しています。
川崎で飲食店の営業許可を取る窓口と、融資との順番
融資と並行して進めるのが、営業許可です。
川崎市の場合、飲食店営業許可の申請先は、店舗がある区の区役所(地域みまもり支援センター)衛生課の食品衛生係になります。市役所の本庁ではありません。川崎区、幸区、中原区、高津区、宮前区、多摩区、麻生区。それぞれに窓口があります。
大事なのは順番です。
工事に着手する前に、図面を持って窓口へ相談に行ってください。シンクの数、手洗いの位置、床と壁の材質。ここが基準を満たしていないと、工事のやり直しになります。やり直しは、そのまま追加費用です。
あわせて、深夜0時を過ぎて酒を出すなら、所轄の警察署へ「深夜における酒類提供飲食店営業開始届出書」を提出します。営業開始の10日前までです。
融資との関係で言えば、営業許可そのものは融資の条件ではありません。ただ、面談で「許可の見通しは立っていますか」と聞かれることはあります。図面の事前相談まで済ませてあると、話が早い。
川崎で飲食店の創業融資を相談できる事務所|面談同席と完全成功報酬
当事務所は川崎駅から徒歩8分にあります。
飲食店の創業融資に特化した公認会計士税理士事務所です。やっていることは、大きく3つ。
- 創業計画書の作成支援:席数と客単価と回転数から売上を組み立て、返済できる数字になっているかまで一緒に確認します
- 面談への同席:日本政策金融公庫の面談に同席します。当日、隣に座ります
- 開業後の顧問:融資が下りて終わりではありません。試算表と資金繰りを見続けます
報酬は完全成功報酬です。融資が実行された場合のみ、実行額の4%(最低20万円・税別)をいただきます。融資が通らなければ0円。着手金はいただきません。
公庫の担当者とは日常的にやり取りがあります。川崎市の制度融資についても、取扱金融機関への相談から同席します。
オンライン面談にも対応していますので、川崎以外の方でもご相談いただけます。
よくある質問
- Q. 川崎で飲食店を開業するとき、融資はどこに相談すればいいですか?
- A. 日本政策金融公庫の川崎支店と、川崎市の制度融資を扱う銀行・信用金庫の2つです。公庫は直接申し込みますが、市の制度融資は取扱金融機関の窓口経由になります。川崎市役所では申込みを受け付けていません。
- Q. 川崎市の創業融資は保証料がかからないというのは本当ですか?
- A. アーリーステージ対応資金で創業関連保証に該当する場合、信用保証料は年0.000%です。所定料率0.800%に対し、川崎市が0.500%を助成し、川崎市信用保証協会が0.300%引き下げているためです(2026年6月時点の市の案内による)。
- Q. 公庫と川崎市の制度融資は両方使えますか?
- A. 併用そのものは可能です。ただし合計額は、返済できる範囲に収める必要があります。両方合わせて月々いくら返すのか、その金額を利益から出せるのかを先に計算してください。
- Q. 川崎で飲食店の営業許可はどこに申請しますか?
- A. 店舗がある区の区役所衛生課(食品衛生係)です。工事に着手する前に、図面を持って事前相談してください。基準を満たさない設計のまま工事を進めると、やり直しになります。
川崎・横浜・東京23区で開業予定の方へ
当事務所は川崎駅から徒歩8分です。日本政策金融公庫の担当者と日常的に連携しており、面談の同席まで対応しています。報酬は完全成功報酬(実行額の4%・最低20万円税別、通らなければ0円)。オンラインで全国からのご相談も可能です。
この記事は飲食店の開業・創業融資ガイドの一部です。資金の全体像、物件と設備、創業計画書、融資の申込までを準備の段階順にまとめています。