「横浜で店を出したいんですが、いくら借りられますか」
相談で一番多い質問です。答えは、借りたい額ではなく、返せる額から決まります。
この記事では、横浜で飲食店を開業するときの資金の総額、借りられる額の考え方、そして横浜市と日本政策金融公庫の申込先を、動く順番どおりに並べます。
横浜で飲食店を開業するのに、いくら必要か
まず総額から。
飲食店の開業資金は、大きく4つに分かれます。物件取得費、内装工事費、厨房機器費、そして運転資金です。
15坪の店を想定すると、こんな並びになります。
- 物件取得費(保証金・仲介手数料・前家賃):家賃の8〜12か月分
- 内装工事費:スケルトンなら坪40万〜60万円、居抜きなら坪10万〜25万円
- 厨房機器・什器:150万〜400万円
- 運転資金:月の固定費の6か月分
横浜で家賃30万円の15坪を借りるとします。物件取得費で300万円前後。スケルトンで内装を入れれば600万〜900万円。厨房で250万円。運転資金で250万円。合計すると1,400万〜1,700万円です。
居抜きに切り替えると、内装が200万〜400万円に落ちます。総額は900万〜1,200万円。この差が、そのまま借入額の差になります。
金額の分解は飲食店の開業資金の内訳と居抜き物件とは|引き継げるもの・引き継げないもので細かく扱っています。
横浜で創業融資はいくら借りられるか
次に、借りられる額です。
制度上の上限は、公庫も横浜市も数千万円の枠があります。ただ、上限まで出るわけではありません。
実際の判断軸は2つです。
1つは自己資金。総額の3分の1程度を用意できているかが、ひとつの目安になります。総額1,200万円なら自己資金400万円、借入800万円という形です。
もう1つは返済能力。ここが本丸です。
800万円を10年で借りると、月々の返済はおよそ6.7万円。これを利益から出せる計画になっているか。月商250万円、原価率30%、人件費25%、家賃30万円という店なら、営業利益はおおよそ月30万円前後。ここから6.7万円を返す形になります。
逆に、月商150万円しか立たない計画で1,500万円を借りようとすると、数字が合いません。合わない計画書は、そこで止まります。公庫審査に落ちる創業計画書のNG例に、止まり方のパターンを書きました。
横浜市の創業支援融資「創業おうえん資金」の条件
横浜市には、創業者向けの制度融資があります。「創業おうえん資金」です。
横浜市の案内(2026年8月7日更新)では、経営者保証ありの条件はこうなっています。
- 融資額:3,500万円以内
- 利率:固定金利で年2.3%以内
- 融資期間:運転資金10年以内、設備資金10年以内(据置12か月以内を含む)
- 担保:原則として不要
- 保証料率:0.4%のところ、横浜市が0.1%助成して0.3%
対象は、1か月以内に横浜市内で個人事業を始める方、2か月以内に横浜市内で会社を設立する方、または創業から5年未満の方です。認定特定創業支援等事業の支援を修了した証明があれば、この期間が6か月以内に広がります。
もうひとつ、経営者保証不要特別という枠もあります。こちらは会社を設立する方が対象で、税務申告1期未終了の創業者は創業資金総額の10分の1以上の自己資金が要件になります。連帯保証人は不要。保証料率は助成後0.5%です。
注意点は、申込先が横浜市ではないことです。取引のある、あるいは最寄りの取扱金融機関に相談します。そこから横浜市信用保証協会に保証依頼が回る流れです。
また、創業計画書は横浜市信用保証協会の様式を使います。公庫の様式とは別物なので、両方に出すなら2種類作ることになります。
日本政策金融公庫の創業融資|横浜で申し込む場合
公庫の創業融資は「新規開業・スタートアップ支援資金」が中心です。
2026年8月3日現在の金利は、国民生活事業の無担保・税務申告を2期終えていない方で、基準利率が年3.55〜5.25%。条件によって特別利率A(年3.15〜4.85%)や特別利率C(年2.65〜4.35%)が適用されます。
数字だけ見ると、横浜市の年2.3%以内より高い。
ただ、公庫には別の強みがあります。金融機関と保証協会の2段階を経ないぶん、結果が出るまでが速いこと。そして、実績のない創業者を審査することに慣れていることです。
横浜市内には公庫の店舗が2つあります。中区にある横浜支店と、西区みなとみらい4-4-5の横浜アイマークプレイスにある横浜中央支店です。原則としては店舗の所在地で管轄が決まります。
なお、どちらの支店に持ち込むかは、事務的に割り振られて終わりとは限りません。支店によって、自己資金の厚みと出どころを重く見るところ、業界での経験年数を重く見るところがあり、同じ計画書でも反応が変わることがあります。融資サポートを専門にしている事務所は複数の支店と日常的にやり取りがあるため、案件に応じて持ち込み先を選んだうえで進められます。この判断は、計画書を仕上げてからではなく、作り始める前にしておくものです。
面談は支店で行われます。聞かれるのは、経歴、自己資金の出どころ、売上の根拠、返済の見通し。ここは横浜だから特別、ということはありません。全国共通です。
公庫と横浜市の制度融資、どちらを先に動かすか。判断の手順と併用の順番は公庫と制度融資(保証協会)どちらで借りる?|飲食店の創業融資の選び方にまとめています。
横浜の物件は、エリアで資金計画が変わる
横浜はエリアの幅が広い街です。同じ「横浜で開業」でも、必要な資金がまるで違います。
関内・野毛。飲みの街です。小箱の居抜きが動きやすく、初期費用を抑えやすい。ただし競合密度が高い。単価と回転の設計がそのまま生死を分けます。
横浜駅周辺。集客力は市内最強ですが、家賃も最も高い。同じ坪数でも保証金が跳ね上がるので、物件取得費だけで数百万円変わります。
みなとみらい。商業施設のテナント区画が中心です。内装の仕様がビル側で決まっていることが多く、坪単価が上がりやすい。保証金の水準も別枠と考えてください。
青葉区・都筑区・港北区。住宅地の生活圏です。家賃は下がり、ファミリー需要が読める。夜の単価は落ちますが、固定費も落ちます。
どのエリアでも、順番は変わりません。家賃から店を決めるのではなく、出せる売上から家賃の上限を決める。目安は家賃が月商の10%以内です。考え方は飲食店の物件探し|家賃と坪数は「借りられる金額」から逆算するにまとめています。
横浜で飲食店の営業許可を取る窓口
横浜市で飲食店営業許可を申請する先は、店舗がある区の福祉保健センター生活衛生課(食品衛生係)です。
区によって係の名前が少し違います。青葉区は食品衛生担当、泉区・栄区・瀬谷区は生活衛生係。受付時間は平日8時45分から17時までです。
ここでも順番が大事です。工事に入る前に、図面を持って相談に行ってください。
シンクの数、手洗い設備の位置、床と壁の仕上げ。基準を満たさない設計のまま工事を進めると、作り直しになります。作り直しは追加費用であり、開店日の遅れであり、家賃の空払いです。
深夜0時を過ぎて酒を提供するなら、所轄の警察署に「深夜における酒類提供飲食店営業開始届出書」を出します。営業開始の10日前までです。
横浜で飲食店の創業融資を相談できる事務所|面談同席と完全成功報酬
当事務所は川崎駅から徒歩8分にあります。横浜市内からなら、京浜東北線でも東海道線でも数駅です。
飲食店の創業融資に特化した公認会計士税理士事務所として、次の3つをやっています。
- 創業計画書の作成支援:席数と客単価と回転数から売上を組み立て、返済できる数字かどうかまで一緒に確認します
- 面談への同席:日本政策金融公庫の面談に同席します。当日、隣に座ります
- 開業後の顧問:融資が下りて終わりではありません。試算表と資金繰りを見続けます
報酬は完全成功報酬です。融資が実行された場合のみ、実行額の4%(最低20万円・税別)。融資が通らなければ0円で、着手金もいただきません。
公庫の担当者とは日常的にやり取りがあります。横浜市の創業おうえん資金についても、取扱金融機関への相談から同席します。
オンライン面談に対応していますので、横浜市内はもちろん、全国どこからでもご相談いただけます。
よくある質問
- Q. 横浜で飲食店を開業するとき、創業融資はどこに申し込みますか?
- A. 日本政策金融公庫(横浜支店または横浜中央支店)と、横浜市の創業おうえん資金を扱う取扱金融機関の2つです。市の制度融資は横浜市役所では受け付けておらず、銀行や信用金庫の窓口が入口になります。
- Q. 横浜市の創業おうえん資金はいくらまで借りられますか?
- A. 3,500万円以内です。利率は固定で年2.3%以内、期間は運転資金・設備資金とも10年以内(据置12か月以内を含む)。保証料率は横浜市の0.1%助成後で0.3%です(2026年8月時点の市の案内による)。
- Q. 横浜で飲食店を開業するのに自己資金はいくら必要ですか?
- A. 制度上の下限が明示されている枠と、そうでない枠があります。横浜市の経営者保証不要特別では、税務申告1期未終了の創業者に創業資金総額の10分の1以上の自己資金が求められます。実務の目安としては、総額の3分の1を用意しておくと計画が組みやすくなります。
- Q. 横浜で飲食店の営業許可はどこに申請しますか?
- A. 店舗がある区の福祉保健センター生活衛生課(食品衛生係)です。受付は平日8時45分から17時まで。工事に着手する前に、図面を持って事前相談してください。
川崎・横浜・東京23区で開業予定の方へ
当事務所は川崎駅から徒歩8分です。日本政策金融公庫の担当者と日常的に連携しており、面談の同席まで対応しています。報酬は完全成功報酬(実行額の4%・最低20万円税別、通らなければ0円)。オンラインで全国からのご相談も可能です。
この記事は飲食店の開業・創業融資ガイドの一部です。資金の全体像、物件と設備、創業計画書、融資の申込までを準備の段階順にまとめています。