飲食店の公庫融資|面談で必ず聞かれる5つの質問と、実際に聞かれた質問25問

創業融資

この記事の結論

・公庫面談は5つの定番質問で8割が決まる。それぞれに質問の意図がある
・鍵は修業経験を「数字と覚悟の言葉」に翻訳できるか
・想定問答の準備で面談の空気は変わる。準備リストは本文参照


修業を10年積んできた。資金もコツコツ貯めた。物件も決まった。あとは融資の面談だけ

ここまで来た方が、最後の最後で踏み外す。公庫の面談で融資が通らないケースを、私はこれまで何度も見てきました。

逆もあります。質問の意図を正確に読み取り、修行経験を「数字と覚悟の言葉」に翻訳できる人。こういう方は、自己資金が少なめでも、業態が珍しくても、しっかり通っています。

この記事では、川崎・横浜・東京23区で多くの飲食店オーナーの公庫面談に立ち会ってきた経験から、面談で必ず聞かれる5つの質問と、その意図、そして修行経験者ならではの答え方をお伝えします。

これから公庫面談に臨む方へ。想定問答を作る前に、この記事を一度読んでみてください


  1. なぜ「5つの質問」を押さえることが面談の8割を決めるのか
  2. 質問① 「なぜ、この仕事で独立しようと思ったのですか?」
    1. 担当者が見ているポイント
    2. NG回答例
    3. 修行経験者ならではの答え方(テンプレ)
  3. 質問② 「どんなお店を出されるのか、もう少し具体的に教えてください」
    1. 答えるべき要素(5W1H+α)
    2. NG回答例
    3. 修行経験者ならではの答え方
  4. 質問③ 「自己資金は、どうやって貯めてこられたのですか?」
    1. 担当者が見ているポイント
    2. 通帳のコピーから何が読み取られているか
    3. 修行経験者ならではの答え方
  5. 質問④ 「売上計画の根拠は何ですか?」
    1. 担当者が見ているポイント
    2. NG回答例
    3. 修行経験者ならではの答え方
  6. 質問⑤ 「うまくいかなかった時は、どうされますか?」
    1. 担当者が見ているポイント
    2. NG回答例
    3. 修行経験者ならではの答え方(3段階で答える)
  7. 補足:1,000万円超の融資を狙う場合の追加質問
  8. 融資相談の戦略|いくら申請するか、どの順で相談するか
    1. いくら申請するか|「必要な額」ではなく「返せる額」から逆算する
    2. 少なめに申請したほうが通りやすい、は半分だけ正しい
    3. どの順で相談するか|順番を間違えると使える選択肢が減る
  9. 面談前にやっておくべき準備リスト
  10. 公庫の面談で実際に聞かれる質問25問(言い回しごと並べます)
    1. 1. 経歴と動機(質問1〜5)
    2. 2. 店の中身と立地(質問6〜11)
    3. 3. 数字の根拠(質問12〜17)
    4. 4. お金まわり(質問18〜22)
    5. 5. リスクと将来(質問23〜25)
    6. 答えられなかった質問が3つ以上あったら
  11. 面談に税理士が同席すると、何が変わるか
    1. 変わること
    2. 変わらないこと
    3. 同席してもらう場合に、事前に頼んでおくこと
  12. 面談当日の流れと、聞かれることの順番
    1. あわせて読みたい(追記)
  13. よくある質問
  14. 川崎・横浜・東京23区で創業融資を考えている方へ
  15. まとめ:面談は「翻訳の場」である

なぜ「5つの質問」を押さえることが面談の8割を決めるのか

公庫の担当者が面談で見ているのは何か。書類だけでは分からない「人」と「事業の現実感」です。

具体的には、次の3点。すべての質問を通じて確認しようとしています。

  1. 本気度:一過性の思いつきではないか
  2. 解像度:開業後の生活と数字を、自分の言葉でリアルに語れるか
  3. 回復力:うまくいかなかった時に逃げずに対応できるか

5つの質問はすべて、この3点を別の角度から検証するために設計されています。

つまり、質問単体でテクニカルに答えても通りません。「この人は本気で、解像度が高くて、転んでも立ち上がれそうだ」。そう一貫して伝わる答え方の地層を作ることが大事です。


質問① 「なぜ、この仕事で独立しようと思ったのですか?」

面談の冒頭、ほぼ100%聞かれます。世間話に聞こえますか? 担当者にとってはアイスブレイクではなく、最初の本気度チェックなんです。

担当者が見ているポイント

  • 動機が 個人的な情熱市場の機会 の両輪で成り立っているか
  • 「なんとなく」「会社員が嫌になって」では絶対に通らない
  • 修業期間と動機の 時系列の整合性

NG回答例

「サラリーマンに向いていなくて、自由に働きたかったんです」 「飲食が好きなので、いつかは自分の店を持ちたいと思っていました」

どこにでもある話です。覚悟も解像度も伝わりません。

修行経験者ならではの答え方(テンプレ)

「○○店で○年間、和食の調理場で修業をしてきました。その中で、 ○○というお客様の体験を、もっと自分なりの形で提供できないか とずっと考えてきました。具体的には(ここで自分の店の独自性を1〜2文)。修業期間中に、 このアイデアを実現するには独立しかない と確信し、3年前から具体的に物件と資金計画の準備を進めてきました」

ポイントは3つ:

  • 修業先と期間を具体的に(信頼性)
  • 修業中に気づいた “顧客への提供価値” を言葉にする(独自性)
  • 「3年前から準備していた」など、計画的に動いてきた事実(本気度)

「思いつきで独立するわけではない」。これを、言葉で説明する前に時系列で証明するのが効果的です。


質問② 「どんなお店を出されるのか、もう少し具体的に教えてください」

ここで担当者が確かめているのは、頭の中にお店の解像度が4Kで描けているか。事業計画書に書いてある内容を、自分の言葉で立体的に再現できるかがポイントです。

答えるべき要素(5W1H+α)

要素
誰に(Who)「30〜50代の食通の男性、客単価7,000円帯」
何を(What)「季節食材の和食コース、日本酒15種類のペアリング」
どこで(Where)「川崎駅西口から徒歩5分、夜の通行量が多い飲食店通り」
いつ(When)「ディナー営業のみ、17:30〜23:00、月8日休み」
なぜ(Why)「修業先の常連層と同じだが、より個別の対応ができる規模で」
どのように(How)「12席のカウンター中心、予約8割・フリー2割」

NG回答例

「美味しい料理を出して、地元の人に愛されるお店にしたいです」

誰の、何のお店かが分からない。これでは、担当者は何も判断できません。

修行経験者ならではの答え方

修業先での具体的な数字を、自分の店に落とし込んで語る。これだけで説得力が一気に増します。

「修業先の○○では、ディナーの客単価が 平均6,800円、月の売上が 概ね950万円 で安定していました。私の店はそれより 1割小さい規模(座席12席)で、客単価は 同等の7,000円帯、月商目標は 480万円 に置いています。これは修業先の 半分以下の固定費 で運営できる前提で、現実的な数字だと判断しています」

修業先の数字は、公庫担当者が「飲食店の現場感」を確認するための最強の材料です。


質問③ 「自己資金は、どうやって貯めてこられたのですか?」

これは、過去の自分の通信簿を見せる質問です。担当者にとって、自己資金は単なる金額ではありません。「この人がこれまでどう生きてきたか」のサマリーに見えています。

担当者が見ているポイント

  • 計画性(コツコツ毎月積み立ててきたか)
  • 本気度(直近で慌てて集めた金ではないか)
  • 自己資金の “出所”(贈与・借入・タンス預金など曖昧な部分がないか)

通帳のコピーから何が読み取られているか

  • 直近6ヶ月〜2年の入出金履歴
  • 毎月コンスタントに積み立てた形跡
  • 大きな入金(贈与・借入)の有無と性質
  • 生活費とのバランス

タンス預金や、面談直前の親族からの大きな入金はどうか。自己資金として認められないことが多いです。

修行経験者ならではの答え方

「修業先での給与は手取り 22万円 ほどでした。生活費を切り詰め、 月7〜8万円 を独立資金として積み立ててきました。直近5年間で約 450万円 を貯め、これが今回の自己資金 500万円 のうちの大半です。残りの50万円は、両親から 贈与 で受け取ったもので、贈与契約書も用意しています」

ポイント:

  • 金額・期間・出所を明確に
  • 「贈与」と「借入」を曖昧にしない
  • 修業時代の手取りと貯金額の整合性が取れている

「コツコツ貯めた」という事実。これは、修行を続けたという事実そのものが証明になります。修業期間が長い人ほど、この質問は強い武器になるんです。


質問④ 「売上計画の根拠は何ですか?」

ここが面談の天王山です。事業計画書の数字が「願望」なのか「計算」なのか。担当者は容赦なく確かめてきます。

担当者が見ているポイント

  • 客単価 × 座席数 × 回転率 × 営業日数 の式が成り立っているか
  • 修業先・周辺競合の 実データ に基づいているか
  • 季節変動・立ち上がり期間が 織り込まれているか

NG回答例

「だいたい月に500万円くらい売り上げる想定です」

「だいたい」「くらい」は地雷ワード。担当者は瞬時に「数字を詰めていない」と判断します。

修行経験者ならではの答え方

「客単価 7,000円 × 12席 × 回転率 1.4回転 × 月25日営業 = 月商 約294万円 が、立ち上がり期(開業後3〜6ヶ月)の想定です。これは修業先の 新規開業時の客足 をベースにしています。7ヶ月目以降 は、認知が進んで回転率が 1.7回転 に上がる想定で 月商 約357万円2年目以降 は予約8割の想定で 月商 約480万円 を目標にしています。 2ヶ月単位で売上をモニターし、想定の70%を切ったら SNS強化・ランチ営業の追加で対応します」

ポイント:

  • 算式を口頭で言える(暗記レベル)
  • 時期別に数字が分かれている(立ち上がり / 安定 / 成長)
  • 悪化したときの “閾値と対応策” までセットで答える

数字は、紙の上だけのものではありません。「この人の頭の中で生きている」と感じさせるレベルに仕上げてください。


質問⑤ 「うまくいかなかった時は、どうされますか?」

最後に、ほぼ必ず聞かれるのが回復力チェックの質問です。多くの方が「絶対成功させます!」と返してしまう。そして、ここで評価を落とします。

担当者が見ているポイント

  • 最悪のシナリオを想定しているか
  • 想定外を想定内に変える “プランB” を持っているか
  • 失敗時の返済原資をどう確保するか

NG回答例

「絶対に成功させます!」 「気合いで頑張ります」

回答になっていません。担当者は「リスクが見えていない人だ」と判断します。

修行経験者ならではの答え方(3段階で答える)

1段階目:早期発見

「2ヶ月単位で売上と来店数をモニターし、 想定の70%を切ったら “アラート” とします」

2段階目:施策

「アラート時の打ち手は3つ用意しています。 ① メニュー構成の見直し(客単価を下げてもランチ層を取り込む) ② SNS・口コミ施策の強化(食べログ・Instagram運用の月予算を倍に) ③ 営業時間の拡大(ランチ営業の追加、最大で月25日 → 28日へ)」

3段階目:最悪時のキャッシュ計画

「それでも売上が 想定の50%まで落ち込んだ場合 でも、 6ヶ月間は返済が継続できる現金バッファ を運転資金に組み込んでいます。その間に営業改善が見込めない場合は、店舗の縮小営業や業態変更も視野に入れます」

ポイント:

  • 数字の閾値(70%、50%)が出てくる
  • 打ち手が複数あり、コスト感も分かっている
  • 最悪時の返済可能性まで言える

「失敗を想定すること=諦めること」ではありません。「想定したからこそ守りが固い」という見え方になります。


補足:1,000万円超の融資を狙う場合の追加質問

融資希望額が1,000万円を超えると、審査基準が一段厳しくなります。質問①〜⑤に加えて、次のような踏み込んだ質問が来ます。

  • 「なぜこの規模が必要なのか」:設備・物件への投資配分の根拠
  • 「2号店・3号店の構想は」:単店黒字化後の成長戦略
  • 「担保や連帯保証人を立てられるか」:規模に応じた信用補完
  • 「物件契約のタイミングと、契約解除時のリスクは」

特に飲食店で1,500〜2,000万円規模の融資を狙う場合。修業10年以上の実績 × 立地に見合った客単価設定 × 投資回収シミュレーションの三点セットが揃わないと厳しい印象です。

ここまで詰める段階になると、税理士の同行と事前のリハーサルが、通過率を大きく押し上げます。


融資相談の戦略|いくら申請するか、どの順で相談するか

面談の受け答えと同じくらい結果を左右するのに、ほとんど語られないことがあります。いくら申請するかと、どの順番で相談を進めるかです。

いくら申請するか|「必要な額」ではなく「返せる額」から逆算する

多くの方が必要資金の合計から借入希望額を決めます。順序が逆です。まず軌道に乗った後の月間利益を出し、その半分を月々の返済上限と考える。7年返済なら、返済上限×84が借りられる額の目安です。

たとえば軌道後の月間利益が36万円なら、返済は月18万円まで。18万円×84ヶ月=約1,500万円。これを超える申請は、計算上「返せない計画」になります。

逆に、必要資金がこの上限を超えるなら、借入を増やすのではなく設備を落とすか、自己資金を厚くするか、開業時期をずらすしかありません。ここを直視せずに希望額だけ膨らませた計画は、まず通りません。

少なめに申請したほうが通りやすい、は半分だけ正しい

「減額されるくらいなら少なく申請しよう」と考える方がいます。しかし資金が足りずに開業後すぐ資金繰りに詰まるのが、いちばん危険です。運転資金を削って申請額を下げるのは本末転倒。

正しいのは、返済可能な範囲で必要額を満額申請し、その根拠を全部説明できる状態にすることです。

どの順で相談するか|順番を間違えると使える選択肢が減る

相談の順番には、後戻りできない場面があります。おおまかな流れはこうです。

①事業の方向性と自己資金の棚卸し → ②売上と必要資金の設計(この時点で借入額が決まる) → ③物件の目星をつける → ④見積書を揃える → ⑤申請 → ⑥面談

つまずきやすいのが③と④の順番です。物件を先に契約してしまうと、家賃という固定費が確定した状態で計画を組むことになり、調整の余地がなくなります。契約前に一度、数字を当ててみてください。

もうひとつ。相談先の順番も結果を変えます。準備が整わないまま窓口に行くと、その時点の情報で話が進んでしまい、後から整えても取り返しにくくなることがあります。動き出す前に、一度専門家に相談しておくほうが選択肢は広く残ります。

当事務所は日本政策金融公庫の担当窓口と連携しており、申請前の段階から計画を整えたうえで進めます。報酬は完全成功報酬制で、融資が実行されなければ費用はいただきません。

面談前にやっておくべき準備リスト

やること期限
5つの質問の 想定問答を文字に起こす面談2週間前まで
数字(客単価・回転率・月商・固定費)を 暗唱できる レベルに面談1週間前まで
修業先の 実数値 を整理(売上・原価率・人件費率)面談2週間前まで
通帳・確定申告書・自己資金の説明書類を 時系列で揃える面談3日前まで
税理士同席のリハーサル(口頭での再現練習)面談3日前まで
当日の 服装・持ち物(事業計画書のコピーは複数部)前日

公庫の面談で実際に聞かれる質問25問(言い回しごと並べます)

ここからは、日本政策金融公庫の創業融資の面談で実際に飛んでくる質問を、担当者の言い回しに近い形でそのまま並べます。

解説を読むより、声に出して答えてみてください。それが一番早い準備です。

詰まった質問には印をつけて、記事の後半にある準備リストへ戻ってください。

1. 経歴と動機(質問1〜5)

  1. これまでのご経歴を、順を追って教えていただけますか。
  2. いまのお店では、どこまで任されていましたか。
  3. 独立しようと思ったきっかけは何ですか。
  4. なぜ、このタイミングなんですか。
  5. ご家族は賛成されていますか。

見られているのはここ:経歴と出す店が一致しているか。そして辞める理由が「逃げ」になっていないか。3番と4番はほぼセットで来ます。「いつか独立したかった」だけでは弱い。「調理3年・ホール2年・店長2年で、任された店の月商を420万円から510万円まで上げた。この経験を自分の店でやりたい」まで言えると、質問が次に進みます。

2. 店の中身と立地(質問6〜11)

  1. どんなお店を出されるんですか。
  2. お客さんは、どういう方を想定していますか。
  3. なぜ、この場所を選んだんですか。
  4. 近くに競合はありますか。どこが違いますか。
  5. 坪数と席数を教えてください。
  6. 従業員は何人で回しますか。

見られているのはここ:頭の中の店が、他人に見える形になっているか。8番で「家から近いので」と答えると、そこから空気が変わります。「駅の南口を平日18時から19時に3日間立って数えた。通行が1時間あたり約600人、うち30代から40代の単身が半分。この層に向けて客単価3,200円で組んだ」。このレベルまで落とすと、質問が「なぜ」から「どうやって」に変わります。物件の見方は飲食店の物件探しの記事にまとめています。

3. 数字の根拠(質問12〜17)

  1. 客単価はいくらで見ていますか。
  2. 回転率は何回転ですか。その根拠は。
  3. 月商はいくらを見込んでいますか。
  4. その売上、平日と土日でどう違いますか。
  5. 原価率と人件費率は、何パーセントで置いていますか。
  6. 家賃を含めた固定費は、月いくらですか。

見られているのはここ:計画書を見ずに言えるかどうか。ここだけは暗記の勝負です。12から14は必ずセットで来ます。18席・客単価3,200円・1.5回転・月25日営業なら月商は約216万円。この計算を口頭でたどれるようにしてください。数字の作り方は売上予測の立て方で解説しています。

4. お金まわり(質問18〜22)

  1. 自己資金は、いくらご用意されていますか。
  2. その自己資金は、どうやって貯めたものですか。
  3. 通帳を見せていただけますか。
  4. 開業までに、あといくら使う予定ですか。
  5. 他にお借入はありますか。カードローンや奨学金も含めて。

見られているのはここ:金額そのものより、積み上がり方です。毎月5万円を3年間で180万円、という履歴は、直前に入金された300万円より強い。22番を言わないのはやめてください。信用情報で必ず出てきます。出てきたときに失うのは融資枠ではなく、そこまでに積んだ信用のほうです。自己資金額ごとの相場は創業融資はいくら借りられるかにまとめました。

5. リスクと将来(質問23〜25)

  1. 売上が計画の7割だったら、どうされますか。
  2. 返済は、毎月いくらまでなら無理なくいけますか。
  3. 3年後、このお店はどうなっていますか。

見られているのはここ:楽観でも悲観でもなく、対処の順番を持っているか。23番は「頑張ります」が最悪の答えです。「まず広告費と自分の役員報酬を削る。次に平日ランチの営業時間を短縮して人件費を下げる。それでも3ヶ月続いたら、メニューを絞って原価率を32パーセントまで落とす」。順番があるだけで、答えの重みが変わります。

答えられなかった質問が3つ以上あったら

それは準備不足ではなく、計画そのものに穴があるサインです。答えに詰まる質問は、たいてい計画書の弱いところと一致します。

私の経験では、詰まる場所は決まっています。回転率の根拠、原価率の置き方、そして「売上が落ちたときの順番」の3つです。創業計画書のNGワードと照らして、埋めてから面談に臨んでください。

面談に税理士が同席すると、何が変わるか

「同席してもらえるんですか」とよく聞かれます。できます。公庫は顧問税理士や認定経営革新等支援機関の同席を受け入れています。

ただし、同席で変わるところと、変わらないところがあります。ここを誤解したまま当日を迎えると、かえって印象が悪くなります。

変わること

  • 数字の質問を引き取れる。減価償却の年数、消費税の課税事業者になるタイミング、返済の据置期間。こうした制度側の質問で本人が黙り込む時間がなくなります。
  • 言い間違いをその場で直せる。緊張して「原価率40パーセント」と言ってしまったとき、計画書は32パーセントです、と即座に補正できる。後から書面で訂正するより、心証が違います。
  • 追加資料の指示を正確に持ち帰れる。面談後に「あれ、何を出せと言われたんだっけ」がなくなります。追加資料の提出が1週間早まるだけで、着金日は動きます。
  • 面談前のリハーサルができる。同席する人間がいるということは、事前に想定問答を一度通せるということです。効くのはむしろこちらです。

変わらないこと

事業の中身は、本人が答えます。ここは代わりようがありません。

「なぜこの店を出すのか」「3年後どうなっていたいか」を税理士が代弁した瞬間に、面談の意味が消えます。担当者が見たいのは、返済していく本人だからです。

同席は、あなたの言葉を通りやすくする補助であって、あなたの代わりではない。この線引きを持っている専門家を選んでください。

同席してもらう場合に、事前に頼んでおくこと

  1. 想定問答を通しで1回、口頭でやる(30分で足ります)
  2. 数字の質問が来たら引き取ってもらう合図を決めておく
  3. 面談後、追加資料のリストをその日のうちに文字にしてもらう

この3つを頼んでおくだけで、同席の価値はまるで変わります。

面談当日の流れと、聞かれることの順番

当日の進み方は、だいたい決まっています。

場面目安時間聞かれること
着席・書類の確認5分本人確認、提出書類の過不足
経歴と動機10分質問1から5
店の内容と立地10分質問6から11
数字の確認15分質問12から17、質問18から22
リスクと今後10分質問23から25
追加資料の指示5分不足書類、提出期限

全体で30分から1時間。担当者は1名のことが多く、面談の場で結果は出ません。追加資料の求めがなければ、結果の連絡までは2週間前後というのが実務での感覚です。

短く終わっても、不利ではありません。むしろ数字が即答できて確認が早く済んだ結果であることが多い。長引くのは、資料と口頭の説明が食い違ったときです。

なお、公庫と自治体の制度融資のどちらで申し込むかで、面談の相手も回数も変わります。判断は公庫と制度融資どちらで借りるかを参照してください。修行系のラーメン職人が独立する場合の面談での強調ポイントは、川崎で修行10年のラーメン職人が独立するときの創業融資と事業計画書で業態固有の3点(役職の変遷・数字の実績・技術の独自性)を整理しています。

あわせて読みたい(追記)

公庫の面談で審査担当者が見ている「経営者の資質」
5つの質問の背後で、担当者が何を見極めようとしているのか。答え方より前の話です。

よくある質問

Q. 公庫の融資面談では何を聞かれますか?
A. 経歴と実務経験、なぜこの立地・この業態なのか、売上の根拠、自己資金の出どころ、返済の見通しです。計画書に書いたことを自分の言葉で説明できるかが問われます。
Q. 融資面談の時間はどれくらいですか?
A. 30分から1時間程度が一般的です。短く終わっても不利ではありません。数字の根拠を即答できるかどうかが評価に効きます。
Q. 面談で答えられない質問が出たらどうすればいいですか?
A. 曖昧に取り繕うより、わからないと伝えて後日資料で補うほうが心証は良いです。計画書と食い違う説明をすることが、いちばん響きます。
Q. 融資面談に税理士は同席できますか?
A. 同席は可能です。数字と制度の質問を引き取れるため、本人が黙り込む時間がなくなります。ただし事業の中身は本人が答える場です。当事務所は公庫の担当者と日常的に連携しており、面談の同席まで対応しています。
Q. 日本政策金融公庫の面談で聞かれる質問を一覧で知りたいのですが。
A. 経歴と動機で5問、店の内容と立地で6問、数字の根拠で6問、自己資金と借入で5問、リスクと将来で3問の計25問が実際の範囲です。本記事にそのままの言い回しで列挙しています。
Q. 公庫の面談から結果が出るまでどれくらいかかりますか?
A. 追加資料の求めがなければ2週間前後が目安です。面談の場で結果は出ません。指示された追加資料を早く出すほど、着金日は前倒しになります。

川崎・横浜・東京23区で創業融資を考えている方へ

当事務所は 川崎駅から徒歩8分。日本政策金融公庫の担当者と日常的に連携しており、 面談の同席 まで対応しています。オンラインで全国からのご相談も承っています。

料金は 完全成功報酬 です。融資実行額の4パーセント(最低20万円・税別)で、通らなければ0円。着手金はいただきません。

もし以下のいずれかに当てはまる方は、 無料相談(60分) でご状況をお聞かせください。

  • 修業を積んで、いよいよ独立に向けて動き始めた
  • 自己資金は 300万円以上 ある
  • 物件の候補が決まっている、または契約済
  • 1,000万円超の融資 を視野に入れている
  • 過去に他事務所で断られた経験がある

👉 無料相談のお申し込みはこちら


まとめ:面談は「翻訳の場」である

公庫面談で問われているのは、 修業で蓄えてきたあなたの実力を、 “公庫担当者の言語” に翻訳できるか ということです。

修業の年月、コツコツ貯めた自己資金、頭の中にある店のイメージ。これらはすべて、あなたの 本気度・解像度・回復力の証拠 です。それを、 数字と具体例と段階を踏んだ答え方 で伝えれば、面談は怖くありません。

「自分一人で大丈夫だろうか」と不安なときは、いつでもご相談ください。事業計画書のレビューから面談リハーサル、当日の 同行立ち会い まで、伴走します。

修業を続けてきたあなたの 理想のお店づくり を、最後の関門で躓かせないために。


なお、創業融資は「一人で公庫に行って交渉するもの」とは限りません。公庫と日常的に連携している税理士が計画段階から関与すると、数字の整合性と書類の質が上がり、審査は格段にスムーズに進みます。当事務所の審査通過率が100%(事前協議で見極めた案件)なのは、提出前に審査目線で整えるこの工程があるからです。

創業計画書、AIとの会話だけで作れます

当事務所の「創業計画書AIヒアリング」は、AIの質問に答えていくだけで、日本政策金融公庫様式の創業計画書Excelが完成する無料ツールです。自己資金の出どころや返済バランスの審査チェックつき。飲食店の創業融資に特化しています。登録特典として、15項目の審査チェックリスト付きPDF「公庫融資 審査の着眼点ガイド」もお送りしています。

無料でAIヒアリングを試す →

この記事は飲食店の開業・創業融資ガイドの一部です。資金の全体像、物件と設備、創業計画書、融資の申込までを準備の段階順にまとめています。